うつ病に必要な治療期間|急性期・回復期・再発予防期間の違い

心療内科での治療うつ病

うつ病になってしまった場合、治療期間としてどれだけの日数がかかるのか、実際にうつ病になった本人、周りの家族、勤務先などは把握しておきたいところですよね。
ここで重要なのは何をもって治療がうまくいったか、そのゴールがどこになるのかということになります。

仕事をいつも通りできるようになるところがゴールなのか、それとも復職をした時点がゴールなのか、それによって大きく異なります。
一方、そのゴールが当事者によって違うと、本人への焦りは相当なものになり、うつ病の治療まで焦ることから、治療期間としてどれくらい必要なのか知っておくことが大事です。

基本的なうつ病治療期間として、3か月から半年というのが一般的となっており、それをメドに復職するという人がほとんどです。
一方、回復したはずにもかかわらず、回復から2年以内にうつ病を再発する人は半数以上と言われており、本当に必要な治療期間は3か月から半年より少なくとも長めであることがわかります。

急性期のうつ病治療期間

うつ病の治療期間の中で、最初の3か月は休養と薬物投与に専念する、いわゆる急性期となります。
この急性期が人によって変化し、軽ければ1か月、長ければ半年以上という人もいます。
この期間はとにかく安静にし、平穏を保つことが求められますが、家族からすればこの急性期が非常に厄介なものとなります。
うつ病を理由に家で何もしないことに対し、最初は同情を示すものの、だんだんとその事実が抜けてしまい、まだ治らないのかというイライラに変化します。
そして、まだうつ病が治らないのかと本人に言い、そのことで本人が傷つくということが見られます。
すると、本人は焦りを感じ、服用し続けなければならない薬を飲まない、逆に飲みすぎる、復帰を焦って外に出ようとするなどの行動に走らせます。これが急性期を長引かせたり、急性期にもかかわらず、治療期間だけで区切ったりしてしまう要因となります。

回復期のうつ病治療期間

その次の段階が回復期です。回復期は急性期の頃のどん底ぶりは脱したものの、まだまだ一進一退の時期となります。
ここまでで大体半年を要することになり、この回復期をもって復職という人がほとんどです。
ただ、回復期とはいえ、急性期とやることはさほど変わりません。
外出をするなど復帰に向けた訓練、認知行動療法などをこなすことになりますが、飲むべき薬を飲む、規則正しい生活をするといったことは相変わらずしていくことになります。
家族もこの頃になるともう治ったものだと感じ、いつも通りの接し方をするようになり、人によっては薬の服用をやめるよう強く求めるケースも出てきます。
一進一退の時期を迎えている認識が薄いと、ついつい今まで思っていたことをぶつけてしまうことがあります。
これが調子の悪い時期に言ってしまうと、取り返しのつかない事態を招くことも多々見られます。
たいていの場合、回復期にこうしたことが見られることから、回復期であっても基本的にうつ病患者へのスタンスは変えないことが求められます。

再発予防期間

回復期を過ぎたら完治とはならないのがうつ病の怖いところです。
いわゆる再発防止の期間も必要になります。
症状が安定し、もううつ病のことなど周囲も忘れかかってくる時期こそ、再発が懸念される時期となります。
薬の服用は発症から最低でも1年、長くて2年は必要ですが、服用している事実に会社側が驚き、嫌な顔をすることも見られ、理解してもらえないケースも存在します。
家族もそれは同様であり、いつまでうつ病の薬を飲んでいるんだと強い疑問を持つ人もいます。
腰痛持ちが腰痛になることを恐れるように、うつ病も再びうつ病になることを恐れていても不思議ではありません。
にもかかわらず、薬を長く飲み続けることに理解を示さない人が多くいるのです。

そのため、本当に必要な治療期間は1年から2年ということになります。服用をやめるのは医師が判断することであり、周囲が判断することではありません。
無理に薬を止めることで、再発してしまい、結果として数年以上治療を余儀なくされることも決して珍しいことではありません。
治療期間として、医師がもう薬を飲まなくてもいいと判断したその時点までとすれば、かなりの人がまだまだ治療期間として足らないということがわかります。

抗うつ剤などの薬を飲んでいる期間はまだ治療中であり、その中で働くために環境を整えるということもしておくことが求められます。
例えば、骨折などで半年近くの入院を余儀なくされる場合、退院した後もいきなり働きだし、肉体労働をこなすということは大変酷です。
段階を踏んで元の仕事量に戻すまでは治療期間と思えば、焦ることもなく、戻していくことができます。
うつ病の治療期間も同じであり、段階を踏んで元の仕事量に戻すまで補助として薬や医師のカウンセリングは必要不可欠です。
こうした認識が広まり、理解していくことでむやみに薬の服用をやめるよう、うつ病患者に求める動きは少なくなっていきます。

コメント