入院を考慮するうつ病の状態とは?自殺や環境リスクで判断を

入院うつ病

うつ病の中には入院を余儀なくされるような重い症状のケース、一方、うつ病の症状自体はそこまで重くないものの、環境がうつ病の治療に適さない場合に入院をすることがあります。
うつ病の治療に関して、基本的には入院ではなく、通院をして治療を重ねていくことが前提となります。
まずは安静にし、薬を投与し、認知行動療法などで認知の歪みを改善するということを柱にして治療をしていきます。
この場合、自宅で安静にすることになりますが、その自宅が安静には適さない環境だった場合、入院を視野に入れることになります。

環境を良くするために入院

例えば、家族がうつ病に関して理解を示さない場合、部屋が少なく安静にする環境がない場合、部屋の周辺が繁華街で到底安静することができない場合などに入院を検討していきます。
もちろん、慣れないベッドの上で安静にしているのは本来の安静からは程遠いですが、現状を考えれば入院をした方がうつ病の治療にとってはマシということです。

自殺の危険性が高い時

次に自殺の可能性がある場合です。うつ病を発症して間もない時はむしろ自殺をするほどのエネルギーがなく、この時期はその可能性が低いとも言えます。
しかし、回復期に入り、症状が一進一退をしている時ほど注意が必要です。
希死念慮が大きくなり、自殺未遂をしてしまう、もしくはそうした衝動に駆られるということがあった場合は四六時中家族が監視するわけにもいかないため、入院をしてその監視を兼ねて、治療に専念するということがあります。
入院してしまえば、物理的に自殺を防ぐこともでき、状態を確認することも可能です。
閉鎖病棟では自殺を防ぐために、ひも状や長い布などは排除しています。カーテンが無く、個室にトイレがあるところも外から監視出来るようになっていて窓も全く開ける事が出来ません。
全ても閉鎖病棟がこのようになっているわけではありませんが、過去に自殺をした人がいる病院では特に神経質になっています。

うつ病の症状が重症化した場合

最後の手段として入院を選択するということも考えられます。
うつ病の重症具合が高い場合も入院を考える基準となります。
重症となると、本人だけの力ではどうしようもなく、家族が協力しようにも苦戦することが考えられます。
負担も大きく、家族全体で共倒れすることもあるため、医師が直接治療の行方を見守り、関与することが得策なことも出てきます。

薬物療法で効果が出ない時

また、薬物投与がうまくいかないときも入院の対象となることがあります。
最初のうちは軽いものを投与し様子を見ることになりますが、それだけでは機能せず、強い薬を使わざるを得ない状態になってしまい、その副作用を医師が懸念する場合に近くで様子を見るという選択肢が生まれます。
家で万が一副作用が出てしまった場合、最悪の場合は取り返しのつかないことになってしまうことも考えられます。
病院でそのような状態になっても処置がすぐにできるため、手遅れになる可能性は減ります。
入院をすることで治療の幅が広まり、通院治療では受けられなかった治療を受けることができることから、その方が治療期間を縮められることも可能です。
うつ病患者の中には他の疾患を抱えている人もいます。
例えば、昼夜逆転をし、ストレス発散のために暴飲暴食を繰り返すケースはよくあります。すると、アルコール依存症や生活習慣病など別の身体疾患を抱えているということが考えられます。
その治療のために同時並行で治療を重ねるということも必要です。
むしろ、うつ病に関してはそこまで心配するものではないものの、別の身体疾患が影響を与えているということもあり得ます。
改善を考えるのであれば、どちらも治していくというのは当然の選択肢です。

電気けいれん療法を受ける時

重症化・長期化したうつ病に非常に効果が高いと言われているものに「電気けいれん療法」があります。
病院によって、入院日数は異なってきますが、1か月から2か月程度入院をして、治療をします。
稀に通院で電気けいれん療法を受けられる病院もありますが、全身麻酔をするために前日の夜から食事制限をするため通常は入院治療となります。
両方のこめかみに電極を張り付けて、脳に微弱な電流を通電する事でうつ病を治療します。

入院による制限

入院をする場合、通常の入院のケースと比べて持ち物に制限があるのが特徴です。
例えば、電子機器の持ち込みなども禁止されているところがほとんどである理由として、プライバシーの問題があります。
また安静のために病院に入るにもかかわらず、パソコンやゲームなどを持ち込むことは安静とは程遠くなるという懸念もあるため、電子機器は持ち込むことができず、携帯電話であっても禁止となり、ナースステーションで預ける形をとります。
入院の期間としては急性期までの間ということになり、だいたい1か月から3か月、長くても半年というのがほとんどですが、自殺の懸念がある場合には急性期、回復期に関係なく、落ち着くまで様子を見るという形になります。
もちろん、最初から最後まで病院で過ごすということはよほどでない限りは考えにくく、基本的には通院でなんとかしていくというのが一般的な傾向です。

なるべくは病院で過ごさないようにするのが大事ですが、仮にそうなったとしても決して悲観することではありません。
むしろ、治すことに専念することができるばかりか、家族にとっても安心することができ、精神的な負担をかなり軽減させることができます。
ベッドの上で過ごす時間はとても長く、退屈な時間と思われますが、当人はそれどころではなく、そんな余裕すら最初のうちは感じません。これが退屈に感じるようになれば改善したということになり、峠を越えたという判断になります。
うつ病を徹底的に治さなければならないということをその機会に認識し、まずできることはベッドの上でただひたすら横になることであると感じ、周囲もそのことを悲観しないという姿勢が大事です。

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