うつ病から復職をスムーズに。再発を予防するリワーク支援とは?

リワークうつ病

うつ病は症状の度合いによっては日常生活に影響をきたしてしまうだけではなく、仕事にも影響をきたしてしまうので重度の場合は休職を余儀なくされてしまうと言う場合もあります。
そして症状が落ち着いてから復職を考えると言う人も多いのですが、実際にうつ病で休職してしまうと再発の事を懸念して復職しにくいと考えている人も少なくありません。

うつ病で休職した人が、復職しても50%が再発してしまいます。
同様に、2回目の復職では70%、3回目では90%といわれる程うつ病は再発のリスクが高く、復職が難しい事で知られています。

再発する要因

復職後にうつ病を再発させるには、それなりの理由があります。
そもそもうつ病は完治はしない病気です。あくまで症状がなくなる寛解でしかありません。
うつ病の発症メカニズム自体まだ未解明な部分が多いので、必然的に完治した状態がないので当たり前とも言えます。
また、うつ病は脳の機能障害なので、脳が回復するにはそれなりの時間がかかるとも言えます。
一方で、復職するタイミングは通常休職してから3カ月や半年と言った期間になります。
これでは、日常生活を送れるくらいには症状が収まっていても、仕事をこなすまで十分に脳の機能が回復したとは言えません。
精神科の医師が「就労可能」と言ったとしても、あくまで8時間程度であればデスクに座って単純作業をするくらいまでは回復していると言う意味にすぎません。
ところが、実際の業務はそんな簡単なものではありませんよね?
復職したからには、依然と同様にストレスがかる職場で依然と同等の業務をこなす環境に置かれます。
ある程度無理をしなければいけない環境に置かれるのです。
必然的にミスは増えて、体調も次第に悪化していきます。
自信も失い、会社に行くのが困難になり、再度休職をする羽目になってしまいます。

さらに職場の理解などの問題から復職したくてもできないというケースもあり、うつ病経験者にとっては徐々に理解する企業が増えてきている現状の中でも厳しいと言う声が多いようです。
そんなうつ病を抱えている人が復職するための支援として行われているのがリワーク支援と呼ばれているもので、まだ知名度はさほど高くはないのですが富士フイルムなどすでに導入している企業も多く注目を集めています。

リワーク支援とは

リワーク支援とは仕事に復帰したいと考えているうつ病患者に対して行なわれるプログラムおよびプログラムを提供している施設の事を指していて、すぐに仕事に復帰するのではなく再発や再燃による休職を繰り返さないようにステップを踏んで仕事への復帰を目指すものとされています。
リワークを受けるうつ病患者は、定期的に施設に通い、そこでプログラムを受けます。
日常生活のリズムを整えるだけでなく、なぜうつ病を発症したのか、どうすれば再発させないで仕事をこなせるかなど、これまでの経緯を振り返りながら自身に合った職場復帰の方法を見つけていきます。
また、復職後に想定される人間関係のトラブルなど具体的な問題を想定する事で、より再発のリスクを抑える効果が期待されます。

要するにうつ病が治ってすぐ以前のように働こうとしても同じように動く事は難しくなっていますし、それに対するストレスによって再びうつ病が再発してしまわないように少しずつ段階を追って仕事ができる体制を整えていくと言うプログラムになっているわけです。

リワーク支援のプログラム内容

では実際にリワーク支援にはどのようなものがあるのかというと、そのプログラム内容は一律ではなく提供している企業や施設はもちろんのこと、実際に支援を受けるうつ病患者の状態や性格に合わせてプログラムが選ばれるようになっています。
なので全てのプログラムを受けなければいけないというわけではなく、その人に合ったものを選んで少しずつ受けるようにするということが大切になっているのです。

プログラム内容としては、マイナス思考を少しずつほぐしていく事ができる「認知行動療法」や心身の疲労のサインに自分が気付けるようになる事で対処法を工夫しながら集中力を鍛えることができる「オフィスワーク」、自分自身の認知のクセや対人関係パターンなどに気づくことで自己理解を深めてストレスコーピング(対処)スキルを向上させる「セルフケア」などがあります。

ほかにも研修ゲームなどの共同作業を行うことでコミュニケーション力の向上など社会性の回復が期待できる「グループワーク」や、体力向上・メンタルのリフレッシュに効果的だとされている「農作業」などもあります。ほかにも施設によっては独自のプログラムを提供しているところもあるので、プログラムの内容を把握して自分が実践できるのかどうか・続けることや達成することができるのかどうかを踏まえながら選ぶ事が大切になります。

リワーク支援の種類

さらにリワーク支援は運営機関によって大きく分けて3種類に分けられていて、それぞれ

  • 「企業やNPO法人が行う民間系」
  • 「独立行政法人や福祉保健局が行う行政系」
  • 「病院・クリニックが行う医療系」

があります。

いずれもうつ病を抱えながらも復職に意欲的であることが利用できる条件となっていますし、申し込めば本格的な利用をする前に体験利用をする事ができるのでまずは体験してから利用を検討する事がおすすめされています。
このようにうつ病にかかってしまった事が原因で休職してしまったと言う人の場合、そこから仕事に復帰するための支援を受けることができるようになっています。
リワーク支援を経由する事によってうつ病の再発や再燃を予防することが出来ますし、自分の意識を変えることが出来るので精神的にも落ち着いて仕事をする事ができるようになると考えられています。

民間系リワークの特徴

民間系リワーク最大の特徴は、復職を希望している人すべてが対象になっている事です。
行政のリワークは休職している人が対象ですが、民間系では失業しているうつ病の人でもプログラムを受ける事が出来ます。
東京都内で実施しているリワークが大半のため、それ以外の地方で探すのは難しいです。
また、書類選考などプログラムを受講するための選考がある民間系リワークもあります。
精神科医などの医師が常駐している民間系リワークは少ないようです。
企業が行っているリワークのメリットとして、実践的な内容になっていることが挙げられます。
行政系リワークや、病院系リワークでは、企業としての目線が足りない事がありますが、企業が行っているリワークはより実践的な復職を目指すことが可能です。

民間系リワークの金額

一日当たり、0円から800円くらいが目安です。

民間系リワークのプログラム期間

大体、3か月から6か月のプログラムを組んでいる所が多いようです。

行政系リワークの特徴

うつ病等で休職中の方で復職の意欲が有る人が対象となっていて、失業中の人は受ける事が出来ません。
待機人数が多いため、プログラム受講まで数か月待たなければいけない場合がほとんどです。

行政系リワークの金額

無料

行政系リワークのプログラム期間

原則3か月で延長などはありません。

行政系リワークリンク

・東京都内(東京障害者職場センター)
http://www.jeed.or.jp/jeed/location/chiiki/13_tokyo.html
・全国(地域障害者職業センター所在地一覧を参照)
http://www.jeed.or.jp/jeed/location/loc01.html

医療系リワークの特徴

休職中で復職を希望している人が対象です。
面談などを実施していて、うつ病の症状が重い人などプログラム受講が困な人は受講する事が出来ない可能性があります。
メリットとして、医師などの専門医が常駐しているリワークが多いため、体調管理の面で安心して受講する事が出来ます。
一方、デメリットとして、通院している病院を変更する必要がある事です。
現在の主治医から離れる事は、精神的に大きな負担になる事もあるので、慎重に検討した方が良いでしょう。

医療系リワークの金額

自立支援医療利用で1日につき420円〜1160円程度とリワークの中で一番高額になっています。

医療系リワークのプログラム期間

2か月から半年程度になっています。

リワークを選ぶときは慎重に

どのリワークを受けるかで、復職までスムーズに行えるかがどうかが変わってきます。
体調に不安が残る人は、医療系リワークが良いでしょうし、より実践的な内容を希望するのであれば、民間系リワークがおすすめです。
金銭的な負担を少しでも減らしたいのであれば、行政系リワークが一番費用を抑えられます。
また、プログラムを受けられるまでの待機期間も大切で、休職期間満了まで数カ月しか残っていない場合は行政系リワークは難しいでしょう。
最近では企業も積極的にリワークを取り入れているので、プログラムを受ける前に必ず上司や総務担当者、産業カウンセラーなどに相談してみましょう。

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