適応障害とうつ病の違いは?原因が解決した時に治るかどうかがポイント

ストレスうつ病

うつ病と似ている病気に「適応障害」があります。
適応障害とは、環境の変化に心身が適応できない時に発症します。

そのため、「この症状があれば、適応障害と判断する」と言うものはありません。
しかし、ストレスが原因である事はうつ病と同じで、出やすい症状と言うものはあります。
例えば

  • 抑うつ気分
  • 不安感
  • 自殺企図
  • 疲労感、倦怠感

などうつ病同じような症状が出る事が多いと言われています。
そのため、適応障害とうつ病の区別を付ける事は容易ではありません。

うつ病と適応障害に違いが出る時

しかし明らかにうつ病と適応障害とに違いが出る瞬間があります。

それは、病気の原因となった出来事が解決した時に、症状が収まるかどうかです。
適応障害であれば、発症要因となったストレスの原因が解決すると、症状はなくなります。

例えば、仕事でパワハラを受けて適応障害を発症したとします。
その場合、転職をして、ストレスの元がなくなれば適応障害の症状はなくなり、普段通りに社会生活を過ごす事は十分可能です。

うつ病は原因が解決しても症状が残る

一方、うつ病はそんなに簡単ではありません。
例え転職や配置転換をしたとしても、うつ病の症状は残ります。
うつ病になると、脳の機能が低下しています。
うつ病の人の脳では、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンと言ったモノアミンが減少している事が分かっています。
特にセロトニンが減少すると、精神的に不安定になるだけでなく、睡眠障害や頭痛など身体的な症状もおこりやすくなります。

そのため、うつ病になるとストレスの原因を取り除いても、低下した脳の機能が回復しない限りは、精神的・身体的症状は続くのです。

うつ病と適応障害を混同するのは危険

うつ病と適応障害を混同していると、非常に危険です。
多くのうつ病患者やその家族は、そのことを理解していないために、結果として更にうつ病を悪化させています。
会社での過重労働やパワハラなどでうつ病を発症させた場合、多くのうつ病患者は転職や退職と言う選択をします。
「今の仕事でストレスがかかって、うつ病になったのだから別の仕事であれば大丈夫!」と考えて転職をする人がいます。
適応障害であれば、転職を考えても問題はないと言えるでしょう。
しかしうつ病になっているのであれば、ストレスの原因から遠ざかると言う意味においては正解なのですが、うつ病の症状が残っている状態で次の仕事を始める事は非常に困難と言えます。
うつ病では、

  • 何もなくても気分が落ち込む
  • 意欲が低下する
  • イライラする
  • 集中力低下
  • 思考力低下
  • 記憶力低下
  • 自責感
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 睡眠障害

などの症状が出てきます。
これらの症状を抱えたまま、転職をすると、新しい仕事内容を覚える事も困難ですし、人間関係を構築するにも大変な労力を必要とします。
また、ストレスに対して体が異常に敏感に反応するようになるケースもあります。
その場合、うつ病にかかる以前であれば、何とも感じなかったような軽微なストレスがかかるだけで、簡単に大量不良に陥る事になります。
そんな中で転職をすると、療養して改善傾向にあったとしても、悪化させる要因となってしまいます。

適応障害からうつ病に移行する事も

メンタルクリニックで、初めて受診をした時には「適応障害」と診断されたにも関わらず、暫くすると「うつ病」に病名が変わる事があります。
これは、ストレスを継続的にかけ続けたために、脳の機能が低下し始めたと捉えて構わないでしょう。
通常、適応障害であれば、会社を数か月休職して、ストレスの元を解決できれば、元通りに働けるようになります。
しかし、会社員をしていると、気軽に休職する事は難しく、環境を変える事も容易ではありません。
そのため、適応障害と診断されても、無理をして働き続ける人は多く、結果としてうつ病にまで病状が悪化してしまいます。

適応障害の段階で止める事が大切

適応障害と診断された人は、心身の休養を取る事と、ストレスの原因を解決する事が大切です。
人間関係でストレスを感じている場合、解決するのは困難ですが、認知行動療法などを勉強してマスターする事で、無駄なストレスを感じる事が少なくなります。
うつ病にまで悪化してしまうと、早くても半年間は治療が必要になります。
長ければ、何年にも渡りうつ病の症状に苦しみ、日常生活すらまともに送れないようになるかもしれません。
早めに治療を開始して、ストレスを取り除くことを優先させましょう。

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