眠れない日が続き食欲がなく、やる気がなく無気力になりずっと気分が落ち込んでいる場合はうつ病の可能性があります。
うつ病気は、精神的なストレスや身体的なストレスなど様々な理由によって脳の機能に問題が起こっていて、何もする気が起きずに無気力な状態になるケースが多々あります。
脳が上手く働かないため否定的になることもありますし、心身ともに健康であれば気にならないことでも気になり、つらくなることがあります。
うつ病は気分障害とも呼ばれいて、抑うつ気分や倦怠感、興味の喪失など様々な症状が出ます。
うつ病と言えば精神的な病気と捉えがちですが、実際には単なる精神疾患ではなく、精神と身体の両面で活力が低下します。
女性の方が男性よりもうつ病になりやすく、特に20代から30代の人が発症しやすいですが中高年世代の発症例も多いです。
うつ病のタイプは多く分けて、
- 外因性うつ病
- 内因性うつ病
- 心因性うつ病
の3つに分ける事が出来ます。
外因性うつ病
外因性うつ病は、頭部の打撲などによって引き起こされるうつ病なので若干特殊です。
内因性うつ病
内因性うつ病はその人の素因が関係しているもの、心因性うつ病は辛い経験などのストレスから発症するものとどちらも良く見かけられるタイプになっています。
内因性のうつ病は治療しなくても治ることが多いですが、本人の心身の状態が悪い場合は早めに治療を受けた方が症状が早く改善します。
心因性うつ病
心因性うつ病は、環境や性格がうつの状態に関係します。
うつ病は、ストレスが引き金になって発症することが多いですが、何も原因がないのにイライラして怒ることもあります。
これはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど、脳内にある神経伝達物質の働きが悪くなっていることも原因のひとつだと考えられています。
最近では「光トポグラフィー検査」や「EPA血液検査」によってうつ病を客観的に検査する方法が注目されていますが、基本的には医師が患者の訴えている症状で判断することになります。
うつで無気力になるのはどうして?
うつになると、やる気が起きずに無気力になってしまう人が多くいますが、これはうつになる事で脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンのバランスが崩れてしまうからです。
セロトニンの働き
セロトニンは脳内物質のバランスを整えて、精神を安定させる働きがあります。
また、睡眠と覚醒のリズムや痛みの抑制などにも関わっている物質です。
ノルアドレナリンの働き
ノルアドレナリンには脳と身体を覚醒させる働きと、環境や対人、精神などから受けるストレスに対応する働きがあります。
ドーパミンの働き
人間が喜びを感じたり、集中した時に出るホルモンで、やる気を起こす源になっています。
うつ病になると、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの働きが低下するので、うつ病患者は意欲ややる気を起こす事がどうしても出来ずに無気力になってしまいます。
周囲の人から「怠けているだけ」「やる気の問題」「根性が足りない」と言う風に言われがちなうつ病ですが、実際には脳内ホルモンが作用しているので、本人のやる気だけではどうしようもないのです。
うつで無気力を治すにはどうすれば良い?対策方法は?
うつ病で無気力を治すためには、薬物療法が取られます。
ドーパミンの働きを制御するうつ病の薬はありませんが(医学的に非常に難しく、これまで治験まで行った薬はありましたが、否認されています)、セロトニンの働きを制御するSSRIや、セロトニンとノルアドレナリンの働きを制御するSNRIを処方する事で無気力を改善していきます。
但し、SSRIやSNRIと言った抗うつ剤は対症療法に過ぎないので、服薬を止めると数週間で元の無気力な状態に戻ってしまいます。
うつ病治療で大切な事は脳の機能を正常に戻す事なのですが、人間が本来持っている回復力を最大限に生かす事が何よりの近道になります。
そのためには睡眠をしっかり取り、栄養バランスの優れている食事を食べて、ストレスのかからない生活を送る事が大切です。
精神科でうつ病に処方されている薬は、抗うつ剤の他にも安定剤や睡眠薬がありますが、これらを複合して服薬する事で、感じるストレスを最小限に抑え、睡眠を取る事で脳の機能を修復させてくれるのです。
うつ病で無気力以外に出てくる症状
うつ病の症状は、精神症状と身体症状の2つに分かれます。
うつ病の精神的症状
精神症状は
- 抑うつ気分
- イライラ
- 集中力の低下
などがあります。重症になると自発性が極端に低下するので注意が必要です。
うつ病の身体的症状
身体症状では
- 食欲の低下(もしくは過食)
- 不眠(もしくは過眠)
- 疲労感
- 性欲の低下
が見られます。
うつ病の診断では現在の状態の評価も重要ですが、これまでの経過も重要になります。
治療にあたり家族にはうつ病であることを伝えて、様々な症状が病気のせいで引き起こされたことを伝えます。
うつ病の治療は周囲のサポートが必要になるので、家族や関係者の協力も大事です。
また、「頑張れ!」と言った励ます言葉は一般的に禁句とされていて逆効果になることがあるので、特にうつ病の急性期は気をつける必要があります。
うつ病の治療
うつ病の治療は、病期によって
- 急性期治療
- 回復期治療
- 再発予防治療
に分かれます。
急性期の治療内容
急性期治療は、しっかりと休養を取り薬物治療を行います。患者が十分な休養を取れるように環境を整えます。
仕事をしている人は、場合によっては会社を休むことも必要になります。
回復までの期間は人によって異なりますが、一般的に数ヶ月かかります。
回復するまでには症状が一時的に悪くなったり良くなったりするので、焦らずに治療を続けるように促します。
症状が改善したように見えても、薬物治療を中止すると再発することがあります。維持療法では、副作用がなければしばらく薬物療法を続けます。
回復期の治療内容
回復の時期は仕事や学校、家庭に復帰することが検討されます。
復帰しても無理をするとストレスなどでまた症状が出てくる可能性があるので、無理をせず少しずつ復帰するようにします。
回復期の症状で一番注意しなければいけないのが自殺です。
急性期では自殺をする気力さえも無くなっていますが、回復期に差し掛かると多少気力が戻ってくる一方で、現状や将来に対する不安感や絶望で頭がいっぱいになります。
そのため、精神状態が悪くなり、自殺の危険性が出てきたときは入院治療も考えますし、同居している家族は常に自殺をほのめかす発言や行動をとらないか注意して見守る事が大切です。
回復期になって食欲がまったくない場合も入院治療が必要になります。
再発予防期の治療内容
うつ病の症状がなくなり、寛解した後は再発予防に努めます。
うつ病の特徴として、一度発症すると再発のリスクが高い事があります。
これは、本人の性格や環境の問題だけではなく、うつ病と言う病気自体が再発しやすい病気だからです。
また、一度再発させるとうつ病の症状は重症化してしまし、回復するのも更に時間がかかる事になります。
そのため、寛解しても1年間程度はストレスを出来るだけかけずにする事が何より大切になってきます。
サラリーマンをしていると、休職した分を取り戻そうとして無理をしてしまう人が多いのですが、自分でもびっくりするくらいうつ病は簡単に再発してしまうので絶対に無理をしてはいけません。
うつ病治療は薬物療法以外に精神療法も取り入れる
薬物治療では抗うつ薬は少量から始めます。第1選択薬はSSRIまたはSNRIです。NaSSAが使われることもあります。
第1選択薬が効かない場合は、薬を変更します。
うつ病の治療法には、薬物治療以外に精神療法があります。
多くの場合は薬物治療と併用されますが、軽症のうつ病には体系化された精神療法が有効だと考えられています。
日本では認知療法や認知行動療法が有名です。
うつ病は通常だと数ヶ月で回復のきざしが見えますが、長くなると1年以上かかることがありますし、抗うつ剤が全く効かずにそのまま何十年と苦しむ人もたくさんいます。
そのため、薬物療法と並行して精神療法を取り入れる事が回復、再発防止の観点からは推奨されています。
また、重症化してしまい、薬物療法や精神療法で改善しないようであれば、電気けいれん療法などの治療も視野に入れる事が大切です。
脳に微弱な電流を流して、けいれん発作を起こさせる治療法なので、怖がる人がいますが、安全性は非常に高く効果も高いので重度のうつ病の人は一度検討して見る事をおすすめします。
うつで無気力なのは仕方がない
このように、うつ病で無気力になるのは仕方がない事です。
むしろうつ病の症状と並行してやる気が出ているようであれば、自殺の危険性が高くなるので、逆に危ない状態と言えます。
脳の機能が低下する程ストレスを掛けたことでうつ病を発症したのですから、「無気力なのは仕方がない」と諦めて、じっくり腰を据えて治療を行って下さい。
また、長期に渡りうつ病と戦っていると精神的・身体的だけでなく、経済的にも負担が大きくなります。
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