性格の問題と放置しておくと危険な「うつ病の兆候」

ストレスうつ病

うつ病になると、様々な兆候が現れてきます。
通常であれば、楽しい事や悲しい事が起きれば、心もそれに反応します。
しかし、うつ病になると悲しい事や辛い事が続いているわけでもないのに気分は落ち込み、物事に興味がなくなってきます。
しかも、精神的な兆候であればうつ病だと自覚する事も容易ですが、身体的兆候の場合、精神科以外の病院をたらいまわしにされる危険性もあるので注意が必要です。

どのような兆候があるかは、診断基準から判断するのが最も適格と言えるでしょう。
大うつ病の国際診断基準である「DSM-IV」では、下記の様な兆候が出てきた時にうつ病と診断します。

大うつ病診断基準DSM-IV

以下の1,2のうち、少なくとも1つある。

  1. 抑うつ気分
  2. 興味または喜びの喪失

さらに、以下の1~7の症状を併せて、合計で5つ以上が認められる。

  1. 食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
  2. 不眠あるいは睡眠過多
  3. 精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
  4. 易疲労感または気力の減退
  5. 無価値感または過剰(不適切)な罪責感
  6. 思考力や集中力の減退または決断困難
  7. 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

上記症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり2週間にわたっている症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。

と言うのがうつ病の症状になります。
これを精神的兆候、身体的兆候に分けてみると、

精神に出てくる兆候

抑うつ気分

楽しい事が起きても、憂鬱な気持ちが抜けず気分が落ち込みます。
悲しい気持ちが心を満たして、将来に対する希望がなくなり、訳もなく涙が溢れる事もあります。
気晴らしに飲み会などに行っても、気分が晴れずに苦痛に感じるようであれば注意が必要です。

興味または喜びの喪失

趣味やテレビなどこれまで興味を持っていたことに対して無関心になり、喜ぶことが出来なくなります。
女性であれば、ショッピングや化粧なども出来なくなってくると危険な兆候と言えるでしょう。

精神運動性の焦燥または制止(沈滞)

「精神運動性の焦燥」とは焦燥感と言う言葉で置き換えらるますが、気持ちが落ち着かずにじっとしていられない状態が続く事です。
様々なリラックス法を試しても、ソワソワした気持ちが収まらずに体中の緊張が取れないようであれば、うつ病の兆候と言えます。
逆に「精神運動性の制止」とは気持ちも体も動かない事を意味します。

気力の減退

「なんとなく面倒」と言った誰にでも起こるものではなく、趣味など以前は熱中できたものも「やりたい」と言う前向きな気持ちがなくなります。
お風呂や化粧などうつ病になる前は当たり前のように出来た事すら、気力が湧かなくなります。

無価値感または過剰(不適切)な罪責感

明確な理由もないのに、「自分には何の価値もない」と思い込み、不必要に自分自身を責めると言った兆候が現れます。
仕事などでミスをした時に、本来であれば自分以外にも原因があるにも関わらず、自分ばかり責めるようであればうつ病の可能性があります。
「考えすぎ」「そんな性格だからうつ病になるんだ」と言われがちですが、本来の性格ではなく、うつ病の症状として無価値観があります。

思考力や集中力の減退または決断困難

うつ病の兆候として、思考力や集中力、判断力が低下する傾向があります。
仕事をしていてもミスが多くなったり、優先順位を付けて業務をこなす事が出来なくなってきたらうつ病の初期症状の可能性があります。

死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

うつ病の最も恐ろしい兆候として、希死念慮があります。
生きていても無意味に感じて、死にたくなる感情が抑えられなくなります。
また、この時に周囲の人に相談をしてもまともに取り合ってくれないと、本当に自殺未遂をする可能性があるので注意が必要です。

身体に出てくる兆候

食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加

食べたいと言う人間が生きていくための本能的な欲求さえも無くなってきます。
好きな食べ物さえも美味しく感じられずに、目に見えて体重が減少していきます。
何を食べても味がしなくなり、砂を噛んでいる感覚になったらうつ病の兆候と考えて良いでしょう。
また、逆に甘いものを食べ過ぎて体重が増加する人もいます。
通常、甘いものを食べると脳内神経伝達物質「セロトニン」が増加して、幸せな気持ちになり心が満たされますが、うつ病の兆候がある人は、セロトニンが減少しているのでいくら食べても不安が消える事はありません。
うつ病で処方される向精神薬などには食欲を増加させる効果がありますが、これは体重が極端に減少してしまい命の危険が及ばないようにするためです。

易疲労感

通常体を動かすと、筋肉疲労が起こりますが、それとは違い脳内神経伝達物質が大きく関わっていると言われています。
ちょっと移動したり、ベッドから起き上がるなどの動作をするだけでも言いようのない疲れが起きます。
抗うつ剤で治療をする事で改善する場合が多いので、易疲労感が兆候として出ている場合はうつ病を疑いましょう。
ただし、うつ病以外にも慢性疲労症候群、腎不全、糖尿病などでも易疲労感は起こるので慎重な診察が大切です。

DSM-IV以外にもあるうつ病の身体的兆候

DSM-IVにもうつ病の兆候はあります。
身体的兆候として、脳への血流量の減少があります。
頭がボーとしたり、首や肩のコリが酷い時は、うつ病の兆候の可能性があります。
身体的兆候に関しては、本人が一番違和感を感じる事ですが、うつ病と判断するのが困難なために内科や整形外科など精神科以外を受診してしまう可能性が高くなります。
血液検査やレントゲンなどを撮っても問題が無いようであれば、一度心療内科を受診する事が大切です。

精神的な兆候を見逃さないで

うつ病の精神的な兆候は、性格の問題と誤解されがちです。
大切なのは、依然と比べてどうかという事になります。
本来のあなたの性格が落ち込みやすいのであれば、治療をする必要はありません。
しかし元々は、多趣味で外に出るのが好きな人が、何に対しても興味を持たなくなったのであればうつ病の兆候と言えるので、早めに心療内科を受診しましょう。
うつ病の治療は早ければ早い程治るのも早いです。
心療内科を受診するのは少し勇気がいるかもしれませんが、手遅れになる前に一歩を踏み出しましょう。

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