東洋紡と HMT、うつ病関連バイオマーカー用酵素の量産技術を確立 PEAの検出が簡易的に

抗うつ剤うつ病

東洋紡株式会社 (本社: 大阪府大阪市、代表取締役社長: 楢原誠慈、以下東洋紡) とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 (本社: 山形県鶴岡市、代表取締役社長:菅野隆二、以下 HMT) は、共同研究により、うつ病関連バイオマーカー※の測定に使用される酵素の量産技術を確立しました。

 
今後、東洋紡はこの酵素を HMT に提供し、HMT は本バイオマーカーを測定する研究用試薬キットの製造・販売を行います。
※バイオマーカー…血液や尿などの体液や組織に含まれるタンパク質、遺伝子、代謝物質などの生体内の物質
で、病気の進行や治療の指標となるもの

1.背景

うつ病の患者数は全世界で 3 億 2,200 万人※1、国内での経済損失額は年間約 3 兆円※2に上ると言われています。
現在、うつ病の診断は専門医による問診が中心ですが、発症の背景や症状が多岐にわたるため、確度の高い診断は容易ではありません。一方、HMT らの研究によって、血液中のリン酸エタノールアミン (PEA) の濃度がうつ病の病状に応じて変動することが判明し、うつ病診断を支援するバイオマーカーとしての有用性が示唆されています。
※1…2015 年 WHO 調べ
※2…2011 年 学校法人慶応義塾 『平成 22 年度厚生労働省障害者福祉総合推進事業補助金 「精神疾患の社会的コストの推計」 事業実績報告書』より

2.経緯

血液中の PEA 濃度を測定するには、特定の分析機器が必要でした。そこで HMT は、汎用の分析機器でも測定できる、酵素を利用した研究用試薬キットの開発を進めています。本キットを使用することにより、多くの医療機関・検査機関で迅速かつ容易に PEA 濃度が測定できることになります。

診断薬用酵素の製造に実績のある東洋紡は、HMT と共同研究を進め、このたび、本キットで使用される酵素の量産技術を確立しました。

東洋紡は 2017 年 11 月より、同酵素を HMT に継続的に提供していきます。
3.今後の予定
東洋紡は今後、HMT が販売する研究用試薬キット向けに継続的に酵素を提供していくとともに、次のステップとなるうつ病の体外診断用医薬品開発の支援も行います。HMT は、2018 年度中に幅広い研究機関へ本キットを販売するために、製造販売体制の構築を進め、うつ病の診断に新たな可能性を広げることを目指します。

うつ病を血液検査で客観的に判断するPEA

去年あたりから、注目を集めているのが、血液中に含まれているPEA(リン酸エタノールアミン)という物質です。

このPEAを測定する事で、客観的にうつ病の重症度を数値化して判断する事が出来るようなんです。

 

正常な人のPEA濃度が2.0~3.0μM(参考基準範囲)に対して、うつ病患者では1.5μM以下になる事が分かっています。

この正確度は8割から9割と言われています。

>>PEAに関する記事はこちら!

現在、一番うつ病を客観的に判断できる検査と言うと、「光トポグラフィー」なのですが、こちらの正確度は7割程度。

PEAの方が高い正確度を誇っています。

ただし、記事にあるようにPEAを測定するには特別な検査機器が必要で、実際に検査できるのはHMTバイオメディカル株式会社だけなんですよね。

このHMTバイオメディカル株式会社と東洋紡が協力して、もっと簡易的な検査機器でも測定値を出せるようにしようという事です。

 

うつ病は「怠け病」と言われることも多く、患者はうつ病の症状以外にも、偏見とも戦わなければいけません。

しかし、PEAがもっと一般化する事で、本当に重症のうつ病患者に対する考え方が変わってくるのではないかと期待しています。

 

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