うつ病に筋トレは効果あり・・・いや出来ないでしょ。

筋トレうつ病

筋トレをうつ病の人に推奨する人が結構いるんですよね。

うつ病では慢性的な運動不足に陥りがちです。
家に閉じこもってばかりいると、ちょっとくらい体を動かした方が良いと考えるのは確かに自然ではあります。
筋トレは運動不足解消になるだけでなく、達成感もあり、気分も高揚しますよね。
運動量が低下すると、それだけでネガティブ思考に陥りやすいとも言えます。
そのため「筋トレで日頃から体を動かせば、うつ病は瞬く間に改善する」といった論理でうつ病患者にそのアドバイスをする素人がいます。

筋トレは脳内神経伝達物質を増やす

確かにうつ病は脳内神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが減少していますが、筋トレをする事でドーパミン、βエンドルフィン、ノルアドレナリンを増やす事が出来ます。
そういう意味では確かに筋トレが出来れば、うつ病に良い効果をもたらでしょう。

しかし筋トレをうつ病に推奨する人は根本的にうつ病を理解していないと言えます。
そもそもうつ病の人が筋トレなんか出来るわけないんですよ。
重症度にもよりますが、うつ病は精神的症状だけでなく、身体的症状もあります。
多くのうつ病患者は満足に体を動かす事が出来ません。

負荷の少ない筋トレは出来る?

「それだったら、負荷の少ない筋トレをすれば良い」と思うかもしれませんが、うつ病患者は健康な人が想像しているよりも遥かに体が重く感じるんです。
個人差はありますが、倦怠感などと言う安易な言葉で表現できないほど体が動きません。
特に新型うつ病の人を悩ましている「鉛様麻痺」はトイレに行く事すらままならないんです。
先ほど説明した通り、うつ病になるとドーパミンと言う脳内神経伝達物質が減少します。
ドーパミンが減少すると運動がしにくくなるのです。
例えば、パーキンソン病と言う病気はドーパミンが極度に減少していますが、見ているとトロトロとしか歩くことが出来ません。
うつ病の人がパーキンソン病ほどドーパミンが減少しているとは思いませんが、感覚的にはかなり似ていると言えます。

筋トレでうつ病が回復した事例もある

筋トレによってうつ病が緩和された事例は確かに一部に存在します。
しかし、それはある程度うつ病が回復してからの話しです。
8割から9割がた回復して、軽い筋トレであれば出来るようになると、
軽い筋トレをする→うつ病が少し回復→筋トレの負荷を増やす→更にうつ病が回復する
と言った好循環を生み出す事は可能だと思います。

筋トレは危険

しかし一歩間違えば、筋トレにより脳のエネルギーが枯渇してしまい、もっと体を動かせなくなる危険性があります。
私も腹筋や腕立てをしたことがありましたが、10回もすれば体より先に脳のエネルギーがなくなり疲労感が半端なく襲ってきました。
筋トレは筋肉に負荷をかける事で効果が出るものですが、そこまで出来ないのがうつ病なのです。
また、脳内麻薬と呼ばれているエンドルフィンとは、筋トレが苦痛であればあるほど、多く分泌されると言われています。
しかし、うつ病患者が筋トレで味わう苦痛は、エンドルフィンを分泌させるとは思えません。

筋トレは精神的にも悪影響が

また、精神的にも悪影響が出る事があります。
そもそもうつ病患者の多くが自律神経にハンディキャップを抱えており、安易に周囲の人々が筋トレを推奨しても、その結果に応えられません。
他人のアドバイスに従おうとする純粋で真面目なうつ病患者の人ほど、誠実に助言を実践して筋トレに励もうとしますが、体の機能がうつ症状によって著しく鈍化しているため、満足にトレーニングが出来ず、今度は簡単な筋トレさえも自分は出来ないのだ、とより一層、自責の念に囚われてしまいます。
精神的な落ち込みや期待に応えられないと言うストレスは、うつ病を悪化させるだけです。

他人から勧められる筋トレはダメ

うつ病の症状がどれほどなのかはうつ病本人にしか分かりません。
そのため、自ら筋トレを始める分には適度な疲労感があり良い効果をもたらすでしょう。
しかし、他人から勧められる筋トレはうつ病を悪化させる危険性があまりにも高いのでやめて下さいね。

コメント

  1. […] >>うつ病に筋トレは無理という記事はこちら! […]