うつ病で病歴・就労状況等申立書を作成する方法。簡潔・具体的に記載して診断書との整合性を!

うつ病

うつ病で障害年金を申請する時に、自分で作成しないといけない書類の一つに「病歴・就労状況等申立書」があります。
日本年金機構のホームページからダウンロードする事も出来ますし、年金事務所に相談に行った時にもらう事も出来ます。
「取りあえず空欄を埋めておけばよい」と思う人が多いのですが、実際には大切な役割を果たしていて、気を付けて作成しないと、状態が悪くても「不支給」になる事もあります。

病歴・就労状況等申立書とは

病歴・就労状況等申立書は、障害年金の請求にあたって診断書に次ぐ重要な書類です。
その役割としては、診断書や受診状況等証明書で補いきれない病状の変遷や現在の状況を障害認定医に伝える、言わば点と点をつなぐ線の様なものである、と言われます。
基本的には請求をするうつ病本人の方が作成するものですので、医学的な用語や法律用語を使う必要はありません。
精神障害は、症状が多様である場合、全てを診断書に記載しない医師も多いです。
主治医が作成した診断書を一歩引いた視点から見るようにし、その上で診断書では何がうまく伝えられていないか、自分が障害認定医に補足として伝えたいところは何であるのかを考え、作成する様にしましょう。

申請者本人や代理人が作成できる

この書類は医師が作成するものではありません。
その為、ある程度申請者の意思で認定医に与える印象を変えることが出来るといえます(虚偽はいけません)。
うつ病の申請者自身で作成する場合には、自分の病状がきちんと伝わるものになっているか、良く確認しましょう。
ご家族など代理人が作成する場合には、申請者の意思を重要視し、「それは些細なことだから書かなくて良い。」などと判断せず、申請者の伝えたいニュアンスを大切にしましょう。
過去の受診状況は申請者の記憶が大きな手掛かりです。申請者が自分の意見を言いやすい関係性つくりも大切になります。

<病歴・就労状況等申立書作成の際の注意点>

記載は簡潔かつ具体的に

申請する側としては、書面がスカスカだとなんだか不安になります。
また、何を書いて良いか分からない為に、とりあえず思いつくことを長々と書いてしまう、ということもあります。しかし、とにかく埋めれば良いというものではありませんし、また短いからダメだ、というものでもありません。
障害認定医が等級の審査をするために重視しているところを押さえ、分かりにくくならない為に、不要な情報を省いて簡潔に書くというのがポイントになります。
うつ病のどんな症状があって、どのような生活を送っているのか(例、「同僚と話をすることが苦痛で職場にいけない」、「感情の浮き沈みが激しく良い関係を築くことができない」、「責任の重い仕事を引き受けられない」)という具体的な事実が読む側に伝わる様に書くことを心掛けましょう。

傷病ごとに作成する

複数の傷病がある場合の裁定請求で、一枚にまとめてしまうと一つ一つの症状が分からなくなります。請求傷病ごとに作成しましょう。

発病日、初診日の記載は正確に

この書類はうつ病の発病日、初診日確定の重要な資料となります。
診断書と整合性がとれているかをきちんと確認しましょう。また、精神疾患の発病日は特定しにくいこともありますので、~頃という記載でも問題ありません。

診断書、受診状況等証明書との整合性に注意

うつ病発病から初診までの経緯や、初診日前に診断歴がないかなど、診断書や受診状況等証明書との整合性には注意を払いましょう。
傷病発生や治療の流れを補足する為の書類ですから、この書類で整合性を取らないと、途端に申請全体が伝わりにくいものなってしまいます。
発病→受診→治療→その経過→症状固定→現状、という流れが一つのストーリーの様になっていると非常に明確ですし、伝わりやすくなります。
うつ病の発病から受診まで長期間空いている場合や、受診と受診の間が空いている場合などもその理由を記載出来ると良いでしょう。

発病から初診までの状況

うつ病のどんな症状が現れてきたのか、日常生活や就労にどの様な影響を与えていたのかを詳細に記入します。
うつ病など精神障害の場合には、頭痛や、血圧の上昇、疲労による無気力などにより、まず内科を受診→検査をしたが異常がない為精神科を受診、といった経緯を辿ることが多いです。
その場合には内科受診からの流れを記入します。また、長期間(概ね五年間)通院や治療の必要がなかったものが発症した場合には、再発の時点からの記入でも構いません(社会的治癒)。

初診から現状まで

初診を受けた病院での治療によりどの様な結果があったか(内科では原因不明の為精神科を受診、等)、(症状の例、精神的に不安定、不眠、無気力、不安感、イライラ感の増大、うつ状態などの症状の進行により出社が不可能になる、上司や同僚との関係が悪化する)などの病状や生活環境の変化の経過を記入します。
記入の際は、処方された薬、薬の変遷、その薬の影響はどの様なものであったかも記入できると説得力が増します。
現状では、ある程度症状が安定しているという場合が多いですが、具体的に日常生活ではどのようなトラブルや不都合が起きてしまうのかを対人関係や生活上の面から記載します。

就労・日常生活状況

ここは障害認定日と請求日現在の就労・日常生活状況を記入します。
就労に関する項目、日常に関する項目、ともに等級認定に影響を与えます。
就労の状況と日常生活の状況は、等級認定の大きなポイントです。
通常であれば就労は出来ない状態で、家族や会社の大きな援助があってなんとか就労している、という様な場合に一言、「就労が可能」といった記載をしてしまうと、不当に軽度な印象を与えかねませんので注意して下さい。
就労をしている、一人暮らしをしている、という場合でも、受けている制限や援助を記載し、「~~という制限があるが、~~の援助により~~程度の就労が可能になっている。」という書き方にしましょう。等級認定は通常書面審査のみで行われます。虚偽の記載はいけませんが、簡潔に書くことで思わぬ影響が出てしまう場合もあります。
「一日○○時間の短時間就労をしている。」「在宅でのPC作業のみに従事している。」といった精神障害者に対しての措置が採られている場合に、その事実を書き忘れてしまうと、書面審査ですから、その事実はなかったということになってしまいます。非常に繊細な書類であることを意識しましょう。
また、代理人が作成する場合には、申請者と代理人の関係性によっては、申請者が、「今は症状が落ち着いているので働けます。」「一人で生活できています。」などと症状を軽く見せようとすることもあります。
この書類の果たす役割を伝え、少しでも疑問に思ったところは丁寧にヒアリングを行い、申請者が現状をありのままに教えてくれる雰囲気を作ることにより、正確に現状を把握する様にしましょう。

「病歴・就労状況等申立書」に不備、矛盾点があると

記載漏れ、診断書との矛盾などがあるとその度に返戻があり、修正をすることになります。
精神障害の場合は、診断書に記載がない症状を書いてしまうことにより、認定医が疑問を抱くことが多いようです。
どうしても必要で書く場合には、「診断書に記載はないが○○の理由で記載している。」ということも補足で書くようにします。
不支給決定や支給決定の遅れにより、請求者の生活が困窮することにも繋がりかねませんので、不備のない書類を初回に提出出来るように様に努めましょう。
書類自体もなるべく手書きよりパソコン等で作成した方が、審査する側にとっては読みやすく、印象も良いでしょう。
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コメント

  1. […] 正確に該当する等級の認定をしてもらう為に注意すべきポイントはやはり「就労」です。就労が可能なのか、不可能なのか、就労している場合にはどの様な就労形態で働いているのか、就労時間や、職場や家庭の環境はどういうものなのか、そして自立は困難であり、第三者の援助の元で生活が可能になっている、ということが障害認定医に正確に伝わる診断書、病歴就労状況申立書を作成することが最も重要といえます。 […]