被害妄想とは、実際は他人から危害を加えられたりしていないのに危害を加えられていると強く思い込んでしまうことです。
過去の経験や社会的真実とはかけ離れていても、信じ込んでしまいます。
例えば、職場の人たちが自分の悪口を言っていると強く思い込んだり、常に誰かに見張られていると強く思い込んだりすることです。
被害妄想にはうつ病や統合失調症などの病気が原因で起きる場合と、精神の不安定さが原因で起こる場合があります。
また、妄想は一次妄想と二次妄想とに分ける事が出来ます。
一次妄想
一次妄想とは、「真性妄想」とも呼ばれていて、何故そう思うのかが自分でも理解出来ない妄想です。
統合失調症では、一次妄想による被害妄想が出てきます。
二次妄想
二次妄想とは、自分で納得する理由がある妄想になります。
うつ病の場合の被害妄想は、この二次妄想がほとんどです。
被害妄想と思い込みの違い
もともとは、非合理かつ訂正不能な強固な確信と被害妄想は定義されています。
被害妄想と思い込みの違いは、他人の意見を聞いた時に考えが訂正できるかどうかにあります。
他人が「そんなことはない」と言った時に、考えを訂正できればただの思い込みなのです。
うつ病の被害妄想の特徴
うつ病の被害妄想は、悲観的な感情から生まれるものがほとんどになります。
脳内神経伝達物質のセロトニンの減少する事で、精神の安定がなくなります。
精神的に不安定になると、些細なことが頭から離れずに自分にとって大事件のように感じてきます。
例えば、「お金がなくなってしまう」と言う被害妄想はうつ病によくみられる症状です。
確かに仕事が出来なくなり収入が激減するので、納得できる考えではあります。
しかし、違う見方をすれば、傷病手当や障害年金、労災などうつ病を金銭的にサポートする体制はたくさんあります。
体調が良い時であれば、「何とかなる」と気持ちを切り替える事が出来るのですが、症状が深刻な時は誰が何と言っても被害妄想を止める事は困難です。
また、「重い病気にかかっている」と言う被害妄想もうつ病患者に多いです。
私の知っている人にうつ病を患いながら、目の手術をした人がいました。
その手術自体は大成功でなんの後遺症も残らずに、綺麗に視力は戻ったのですが、その人はちょっとした目のゴロゴロ感が出ただけで、自分でもどうしようもないくらい不安に陥ってしまいました。
うつ病の被害妄想対策
うつ病の場合、精神的に不安定になるのはある程度仕方のない事です。
抗うつ剤や安定剤がしっかりと効果を出してくれれば、極度の不安に悩まされたり、被害妄想になる事もないのですが、人によっては薬に対する反応が低い人もいます。
その場合は、心理療法が効果的と言えます。
中でも、認知行動療法では、【一つの見方だけでなく、別の視点から見た時にどう思うか】と言う訓練を行います。
認知行動療法が身につくと、様々な視点や他の人の意見を取り入れやすくなるので、被害妄想も大幅に減らす事が出来ます。
うつ病の被害妄想の注意点
また被害妄想の時に、イライラしてしまう気持ちが働く場合は、それが自分に向いているのか他人に向いているのかが重要になります。
うつ病の場合は自分に対して攻撃的なイライラが起こることが多いです。
それは不安な気持ちや焦燥感のせいで落ち着くことができずに起こります。
精神的にが疲れているせいで起こるので、薬物治療と一緒にストレスから遠ざけて心の休息を取らせてあげることが重要です。
「なんでこんな事が自分は出来ないんだ」「前はもっと残業をしても全然平気だったのに・・・」と自虐的になってしまう事もあります。
この状態が酷くなると、リストカットやオーバードーズ、自殺と言った行動に出てしまうので注意が必要です。
精神的にどうしても安定しないようであれば、主治医に相談して電気けいれん療法を受けてみるのも一つの方法ではあります。
他人に対してイライラする時
また、滅多にありませんが、うつ病でも他人に対してイライラする場合もあります。
相手の些細な事が気に入らなくて仕方がないという事がおこりえます。
自分に攻撃的になっている時とは逆に、スポーツやカラオケなどでアクティブになることで攻撃的なパワーを発散させることができます。
やりがいのあること、好きなことをできるだけさせてあげることが良策になります。
もしも、そのまま対策を取っていなければ、最悪の場合周りの人に暴力をふるう可能性もあるので、専門の病院やクリニックで早めに受診し相談することが大切です。
薬物療法だけではなく、普段の過ごし方や食事でもかなり改善しますので病院やクリニックで診察をしてもらうことで改善が見込めます。
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