思春期うつ病って何?子供に襲い掛かる深刻なうつ病

思春期の子供うつ病

思春期うつ病は、10代の思春期(青年期)にかかるうつ病の事です。
基本的には、大人のうつ病と同じですが、大うつ病よりも新型うつ病(非定型うつ病)の症状が出る子供が多いと言われています。
また、症状に関しても、責任感・不安感・焦燥感と言った精神的なものよりも、身体的症状を現わす事が多いのが特徴です。

思春期うつ病の主な症状

具体的には

  • 鉛様麻痺
  • 不登校
  • 成績が下がる
  • 過眠
  • 体重の増加
  • イライラする

などです。
そのため、思春期のうつ病では、これらの症状の裏に隠れている抑うつで、どれほど苦しんでいるかを見極める事が大切です。
以前は思春期うつ病は、正常な発達の過程にあるものと判断されていましたが、現在では幼少期、青年期、成人期を通じて大人と同様のうつ病の症状がある事が分かっています。

鉛様麻痺

体が鉛のように重たくなる症状で、ベッドから起き上がる事も困難になってきます。

不登校

友人関係のトラブル、いじめなど学校に原因がある場合、多くの子供が不登校になります。

成績が下がる

うつ病の症状の一つに、記憶力・集中力の低下があります。
勉強をしても思うように成績が上がらなくなりますが、これも思春期うつ病の症状の一つです。

過眠

大人のうつ病では、不眠になる割合が9割と高いのに比べて、思春期うつ病では逆に過眠になる傾向が強いと言われています。

体重の増加

抗うつ剤など薬の副作用として過食になるのではなく、思春期うつ病の症状として過食による体重の増加がみられます。

イライラする

大人のうつ病と大きく異なる点として、イライラがあります。
反抗期と似ているために、判断が難しいですが、うつ病になった多くの思春期の子供はイライラを抑えられなくなります。

思春期うつ病の治療

思春期うつ病の治療で大切な事は、薬物療法だけに頼るのではなく、認知行動療法やカウンセリングなどの心理療法を取り入れる事で大きな治療効果が期待されます。
ストレスの原因となっているものから離れるだけで、症状が緩和されることも多いとされていますが、思春期の子供一人の力では転校したり退学する事は困難なため家族のサポートが大切になってきます。
そのため、心療内科や精神科を受診する際には、母親や両親の同行は不可欠になってきます。

薬物療法

現在の抗うつ剤で思春期うつ病に必ず効果を発揮すると言うものはありません。
逆に抗うつ剤を服用する事で、自殺などのリスクが高まると言う指摘もあるため、効果とリスクを考慮しながら薬物療法をしていく事が大切です。

認知行動療法

思春期うつ病に一番効果が高いと言われているのが、認知行動療法です。
思春期の子供は、客観的な物の見方をする力が未発達なケースが多いため、一つの視点ではなくあらゆる方向から判断する力を付けていきます。
人間関係の改善に効果を発揮しやすいのが特徴です。

カウンセリング

思春期の子供は、自ら不安やストレスの原因となっている事柄を話したがらない傾向が強いと言えます。
そのため、共感して話を聞いてくれるカウンセリングによって、根本的な原因を探っていく事は非常に大切です。
思春期うつ病では、孤立して自分の殻に閉じこもりがちですが、カウンセリングを通して対話をする事で、自分を理解してくれる存在がある事を知ってもらうことで、精神的にも安定してきます。

思春期うつ病の注意点

思春期は何かと精神的に不安定になる時期でもあります。
学校やクラブ、勉強、友人関係、恋愛まで心も体も大きく成長する大切な時期です。
思春期の子供は、この不安定な時期にストレスを感じる事も多く、悩みも尽きません。
家族から見ても、「思春期には良くあることだ」「性格が変わっただけ」とはねのけてしまう事も多いため、うつ病の深刻な症状を見逃してしまいがちです。
子供の悩みを受け止めて、解決していく力を共につけていく事は、思春期から大人へ成長するためにも必要です。
親からの愛情を感じない子供は、精神的により不安定になり、タバコやアルコール、麻薬などにはしる事もあります。
また、思春期うつ病の症状がひどくなってきて、誰にも必要とされない気持ちが強くなると自殺と言う選択をしてしまう事もあります。
思春期の子供は精神的にも経済的にも、まだ一人で生き抜く力を付けていません。
親がしっかりとサポートをして、異常を感じたら出来るだけ早期に医療機関を受診するようにしましょう。

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