電気けいれん療法はうつ病、躁病、統合失調症に効果が高い知慮法です。
(大うつ病性障害、双極性大うつ病、躁病、非定型精神病、統合失調症、カタトニア、せん妄)
薬物療法で効果が出ない人や高齢者・妊婦・小児に対しても有効な治療です。
妊婦さんにも適応されると言うと驚く人がいますし、赤ちゃんに影響がないか心配する人もいます。
しかし、抗うつ剤が胎児に与える影響よりも、遥かに電気けいれん療法の方が安全なうつ病治療なのです。
一方、電気けいれん療法が有効でないと考えられている診断には、
- 認知症及び健忘性障害
- 物質関連障害
- 不安障害及び身体表現性障害
- 虚偽性障害
- 解離性障害
- 性機能障害
- 睡眠障害
- 衝動制御障害
- 適応障害
- パーソナリティ障害
があります。
適応障害とうつ病は判別が難しいと言われていますが、病気になった原因が解決すると、症状がなくなるのが適応障害です。
しかし、うつ病はストレスが無くなったとしても、脳の機能は低下しているので、不安や焦燥感と言った精神的症状に加えて、不眠や頭痛などの身体的症状が残ります。
うつ病は脳の病気なので、一度低下してしまった機能を回復させるためには、短くても半年程度は必要とされています。
電気けいれん療法は効果があるのか?
電気けいれん療法コミュニティを運営していて、良く質問を受ける事の一つに「電気けいれん療法は本当に効果があるのか?」があります。
うつ病になると、何としてでも改善したいと思う一方、自分が信じられない事には恐ろしいくらい消極的になります。
なので、効果が本当にあるのかと言う質問は殆どの人から受けます。
結果から申し上げえると、「電気けいれん療法の有効率は84.8%です」という事。
この中には、著効26.8%、かなり有効35.1%、少しは有効22.9%が含まれています。
参考にしている文献は、第104回日本精神神経学会総会の資料です。
当たり前ですが、電気けいれん療法を受ける前に「絶対に効果がある」とは言えません。
ECTが無効の人も13.3%います。
また、年配の人の方が若年者よりも効果が出やすいと言われています。
これは、若い人の場合、うつ病以外の病気も隠れている可能性が高いからです。
せっかく受けても効果が出ないかもしれないんなら、受けたくないと言う人もいます。
でも、本当にそれで良いのかな?と私は疑問です。
電気けいれん療法の有効率はその数字だけ見ても明らかですが、これは薬物療法で思うような効果が出ない人の数値です。
つまり、抗うつ薬や安定剤ではお手上げ状態の人に対して、84.8%の有効率があるのです。
他の治療法ではこんなに高くは絶対にならないですよね?
一般的に抗うつ剤で改善するうつ病の割合は50%と言われています。
残りの半数の人は、薬物療法に対して反応性が低いのです。
1年ほどかけて、抗うつ剤を一通り試しても、効果が出ないで、副作用に悩まされる事になります。
それでも、他の治療方法がないために、抗うつ剤や安定剤を服用する事しか出来ません。
電気けいれん療法で効果が出ない場合
万が一、電気けいれん療法で効果が出なかった時は、少なくても「自分は電気けいれん療法では効果が出ない」事が分かります。
それならば他の治療法を試してみれば良いのです。
例えば、TMS治療だとか、認知行動療法です。
抗うつ剤で改善しなかった人が、そのまま何も行動しないままだと、うつ病を克服するのはほぼ不可能ですよね?
だって、これまで嫌って言うほど薬物療法を試しているわけですから。
日本の医学は厚生労働省が管轄しています。
保険点数であったり、薬物・治療の認可です。
その厚生労働省が重症のうつ病に効果が高いと言っているのが、電気けいれん療法です。
まずは、これを受けないで他の治療法を探すのは本末転倒です。
うつ病になったら、薬物療法を試してみる。
それでだめなら、電気けいれん療法を受けてみる。
それでもだめなら他の治療法を試しましょう。
電気けいれん療法を受ける前に障害年金の申請を!
電気けいれん療法の有効性の高さはご理解いただけたかと思います。
実際に2回電気けいれん療法を受けた私の意見としては、他の治療法とは比較にならないくらい効果がありました。
しかし、電気けいれん療法を受ける前にして欲しい事があります。
それが、障害年金の申請です。
うつ病を発症してから1年6か月以上経過しているのであれば、是非障害年金の申請を行って下さい。
電気けいれん療法を受ける人の多くは、「とにかくこの苦しいうつ病の症状を一刻も早く何とかしたい!」と願っています。
しかし、一度電気けいれん療法を受けてしまえば、うつ病の症状は大きく改善する可能性が高いだけに、その前の悪い状態の時に障害年金の申請をして欲しいのです。
うつ病が悪化している状態であれば、障害年金の受給も比較的簡単ですが、改善した後では申請が却下される可能性が高くなります。
電気けいれん療法はうつ病を寛解する事も出来ますが、完治させる事はできません。
ストレスのかかる環境に身を置けば、また再発するリスクを伴っているのです。
そんな状態の時に障害年金が受給出来ていれば、急いで仕事を探す必要もないですし、じっくりとうつ病の治療に専念する事が出来ます。
電気けいれん療法を受ける前に、セーフティーネットとしての障害年金の申請を必ず行うようにしましょう。
コメント
[…] 現在うつ病に対して一番有効率が高い治療法は「電気けいれん療法」ではないかと思っています。 […]
[…] 双極性障害の有効な治療方法としては、薬物療法以外に、電気けいれん療法やTMSなどがありますが、適切な治療を施しても改善しないケースもあります。 […]
[…] まずは今回新薬として認可されたような薬物療法、そしてそれでも改善しない時には私も2回受けた「電気けいれん療法」、最後に日常生活を細かくチェックする事で自分自身をコントロールしていくという事。 […]
[…] >>電気けいれん療法に関する記事はこちら! […]
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