「妊産婦の自殺を防げ!」、地域の診療連携の評価を検討。産後うつだけではない妊娠の合併症

妊婦さんうつ病

厚生労働省は10月11日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、妊産婦の合併症には身体的疾患が多いが、精神疾患の合併も少なくなく、うつ病などでの妊娠中や産後の自殺事例もあることから、地域で産科と精神科、自治体等が連携して患者の診療を行う体制を評価することを提案した。「ハイリスク妊娠管理加算」の対象疾患には精神疾患も含まれ、入院では評価しているが、外来でも対応するのが狙い。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「妊産婦のうつ病などの精神疾患による自殺事例は防ぎ得るという視点で提案している。入院だけでなく、地域において多職種、多領域の共同チームが支援していくことが重要」と趣旨を説明した。

(2017年10月11日の中医協総会資料)

 さらに、妊婦の外来診療では、催奇形性や胎児毒性に配慮した医薬品処方、頻度の高い合併症や診断が困難な疾患を念頭に置くことが必要なことから、妊婦の外来管理の評価も論点として挙げた。

 精神疾患を有する妊産婦への対応については、診療側からは「地域の連携がなければ、周産期医療センターに妊産婦が集中してしまう。地域の産科と精神科の連携評価は必要。また全ての精神科医が対応できるわけではないので、講習会や勉強会の開催も大切」(日本医師会常任理事・松本吉郎氏)と支持する意見のほか、「妊産婦の死亡総数に対して、自殺がどのくらい占めるのか。他の国との比較はどうか。これらの資料だけでは判断できない」(日本医師会常任理事の松本純一氏)など追加データを求める声が上がった。支払側からは、連合総合政策局長の平川則男氏が「例えば研修を受けているか否かといった精神科医の要件の明確化などが必要。さもなければ、報酬上の評価が甘くなってしまう」と求めた。

 専門委員の日本看護協会副会長の菊池令子氏は、「心疾患や糖尿病など、産科以外の疾患を持つ妊婦に対するケアは重要であり、外来管理に対する評価充実に賛成。また精神疾患を合併した妊産婦については、診療上の連携とともに、安全な妊娠継続、育児まで含めた手厚い切れ目のないサービスが必要なので、関係機関の連携を促進して母子の地域包括ケアシステムの構築を進める必要がある」と厚労省の提案を支持した。

 他の委員の主な発言と厚労省の回答は次の通り。

【診療側】

日医副会長・今村聡氏:地域での有機的な連携は大事だが、具体的にどんなイメージなのか。医療機関同士は診療情報提供書で連携している。診断が付かなかった場合など、これらでは不十分なので、全体として別の評価を考えているのか。個々の診療所の連携ではなく、病院のイメージか。

迫井課長:イメージしているのは、複数の診療科、あるいは複数の医療機関、行政が関わる体制。例えば、こうした一定の体制を取っている場合に報酬で評価することもあり得るのか、というのが議論のスタート時点での提案。また分娩施設には有床診療所もあり、病院に限定することは考えていない。

(2017年10月11日の中医協総会資料)

【支払側】

健康保険組合連合会理事・幸野庄司氏:方向性に異論はない。具体的なイメージとしては、妊娠中の患者が受診した際に、医学管理料的な加算が付くのだろうが、疾病の条件などは考えていないのか。ちょっとした風邪でも加算が付くのか、診療科によって区分することを想定しているのか。

迫井医療課長:妊婦の外来管理は、個別の疾患を想定したアプローチよりも、どちらかと言えばハイリスクの方を念頭に置いたアプローチ。一方で、妊娠中はさまざまな局面で疾患によらず配慮が求められるので、個々の管理や疾患についてしばりを設けるのは、本来の趣旨に反するかと思う。大きくこの二つの体系を念頭に議論を深めてもらいたい。診療科についても同様で、他の疾患で他科を受診する場合の配慮を考えていきたい。

 

記事の感想

これまでは、産後鬱という言葉があるように、出産してからうつ病になる人に焦点が当たってきていました。

 

しかし、実際には妊娠中の合併症として、うつ病になる人も多いのですね。

 

特に自殺まで追い込まれてしまう妊婦さんが多いのには、驚きです。

 

妊娠中の合併症では、妊娠糖尿病などが有名ですが、これに精神疾患が加わるとの流れです。

 

妊娠中のうつ病の実態が明らかになるのは非常に良い事ですが、問題は結構ありますよね。

 

特に注意をしなければいけないのが、投薬です。

 

妊娠中は、抗うつ剤などを服用すると、奇形胎児が生まれるリスクや流産のリスクがあると言われています。

 

そのため、妊娠前からうつ病の女性は、妊娠中は大変な心労があるそうです。

 

妊娠中でも効果が高いうつ病治療の一つに、電気けいれん療法がありますが、言葉の響きや、記憶喪失のリスクなどがあるので、敬遠する人も多いのではないでしょうか?

>>電気けいれん療法の記事はこちら!

兎にも角にも、実態が把握出来てきたので、今後の治療体制の変化に注目したいと思います。

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