電気けいれん療法とは、治療を必要とする患者の脳に一定の電流を流して刺激を与えるという特徴を持つ治療方法です。
これだけ聞くと恐ろしいイメージを持ってしまいがちですが、現在では技術の進歩や治療方法に改良が加えられ、効果的な上に安全性も向上している話題の治療法となっています。
このような特徴を持っているため、通常精神科の治療で使用される薬では効果が見られない人や、再発を繰り返してしまうような人には効果的なこともあります。
電気けいれん療法は、当初は統合失調症を患っている患者に対して主に用いられる治療の種類でした。
その後、双極性障害や鬱病など統合失調症以外にも効果があることが判明し、最近は様々な精神疾患に対して用いられています。
この治療法は電気ショック療法や電撃療法などと呼ばれる種類の治療の一種であり、いずれも基本的には同じような内容の治療が行われます。
電気けいれん療法の治療方法
具体的な方法としては、患者の頭の左右のこめかみに特殊な電極を設置し、そのまま電気を流すという至ってシンプルな内容になります。
昔は単純に電気を流していたため痛みや不安も大きく、効果が大きいとは言っても受けたがらない患者が多かったのも事実です。
しかし近年行われている電気けいれん療法の場合は、治療の際にしっかりと麻酔をかけてから開始されるので痛みや恐怖を感じることはありません。
さらに、治療中に万が一にも患者が危険な状態に陥ることのないように、呼吸やバイタルなどを厳密に管理されながら治療が行われるので安全性に関してはほぼ心配ないと言えます。実際、治療内容が改良されて以降は重篤な副作用や後遺症が起きることはほぼ無く、安心して治療を受けることができます。
稀に治療後に一時的な頭痛やせん妄といった症状が現れることはありますが、その多くはあくまでも一過性であり後遺症が心配されるレベルではありません。
この治療法は患者に対して1回のみ行われるものではなく、必要に応じて何度か継続して受けることになります。
具体的に何度必要という制限やルールはありませんが、平均的には1週間に1回から3回程度のペースで受け、トータルで6回から15回ほど繰り返すことになります。
治療の特徴としては、即効性が高く治療効果も高いこと、維持療法が必要な事が挙げられます。
実はこの治療法は偶然に発見されたものであり、なぜ統合失調症や鬱病患者などに高い効果が現れるのか明確には解明されていません。
とは言え、実際に治療を受けた患者に対しては非常に高く効率的な効果が認められることもあり、治療薬を用いても効果が見られなくなってしまった人などでも症状の改善を期待できるため、最後の拠り所として行われることもあります。
治療を受けたとしても放っておくと、一時的に症状が改善したとしても次第に元通りに戻ってしまうことがほとんどです。
改善した状態の時に適切に治療薬を使用したり、それでも症状の維持が難しい場合は定期的に治療を繰り返していくことになります。
修正電気けいれん療法とは
最近では、電気けいれん療法の中でも特に修正電気けいれん療法という種類が用いられることが多くなっています。
修正という名前が付いている通り、もともとの電気けいれん療法をより良く改善した治療法になります。
「修正型電気けいれん療法」「無けいれん通電療法」「m-ECT」と呼ばれています。
例えば、実際に電気を流す前に麻酔を使用して痛みや恐怖を緩和させたり、筋弛緩薬を用いて筋肉の緊張を緩め、痙攣の発生を予防するようなことが挙げられます。
脳に電気を流せば、その電気刺激が筋肉に伝わって、意図せず筋肉が動いてしまうこともありました。
治療の本来の目的は脳に刺激を与えて症状を改善させることで、筋肉を動かす必要は全くありません。
このため、筋弛緩剤を用いてあらかじめ筋肉が動かないように対策を行っておくことで、骨折や筋肉痛といった副作用や事故を未然に防ぐことができるのです。
このような目的のため、単純に電気を流すだけでなく事前対策も万全にした修正電気けいれん療法の方がよく利用されるようになってきたのです。
電気けいれん療法のメカニズム
電気けいれん療法がなぜ統合失調症やうつ病などの精神疾患に大きな効果をもたらすのか、その詳しい作用機序は現代の医療技術や知識をもってしても明確にはされていません。
脳に一定の刺激を与えることで脳内で分泌される神経伝達物質の分泌量を安定させ、脳機能を正常化させて様々な症状を緩和させられると考えられていますが、具体的なメカニズムが判明していません。
現段階で解明されたことは、脳内ホルモン「ドーパミン」を増加させるという事です。それ以外のセロトニンやノルアドレナリンに関しては、研究段階にとどまっています。
しかしこの治療法によって実際に症状を改善させられたうつ病患者も多いので、薬など他の治療をいくら行っても効果が感じられず、深刻に悩んでしまっている患者などには大きな助けとなる可能性もあります。
治療を希望する場合は担当の医師としっかりカウンセリングを行い、注意点などもよく聞いた上で決断するようにしましょう。
うつ病が悪化している時に障害年金の申請を!
電気けいれん療法の効果は高い事で有名ですし、私自身2度に渡って電気けいれん療法を受けてきました。
寛解とはいかないまでも、仕事や家事、育児をする分には特に困らない程度まで回復しています。
一時は自殺未遂までして、頭の中は濃い霧がかかったような状態で、四六時中途方もない不安と絶望に悩まされていたことを思うと劇的に改善しています。
そんな私から一つ忠告するとすれば、電気けいれん療法を受ける前か直後には必ず障害年金の申請をして欲しいという事です。
障害年金の金額は、うつ病が深刻であればあるほど多くもらえる事が出来ます。
冷静になれば当たり前のことですが、電気けいれん療法を受けて大きく改善してしまった後に申請をしても否認される確率が高くなってしまうのです。
私もそうですが、電気けいれん療法を受けたからと言って、すぐに仕事に復帰してバリバリ働けるのかと言うと、決してそんなことはありません。
そんな時に、頼りになるのが毎月支給される障害年金です。
私は障害年金1級で、妻と子供がいるので、毎月18万円程度受給する事が出来ています。
家族を養う立場にある私としては、本当に心の底から感謝したい気持ちで一杯です。
まだまだ長い人生を乗り切らないといけない中で、しっかりと回復するまで障害年金と言う社会保険制度に頼るのは何ら恥ずかしい事ではありませんよ。
コメント
[…] 一番多い症状が記憶喪失で、最近の出来事の記憶がなくなってしまうといった心配な症状が見られますが、時間の経過とともに少しずつ記憶が戻ってきますので、必要以上に恐れる心配はありません。 おおよそ数週間で記憶が戻るとされています。 ただ、記憶喪失の症状はどこまで電気けいれん療法が関係しているのか、明確になっていません。 精神疾患自体が関係していたり、また別の病が隠されている可能性も捨てきれない状態です。 また、記憶障害に関しては修正型電気けいれん療法やパルス波治療器を使用した電気けいれん療法を選択する事でリスクを減らせることが分かっています。 2,3週間で戻るとはいえ、記憶をなくすと言う経験はうつ病患者にとって非常に怖いものです。 病院選びをする時には、副作用のリスクが少ない電気けいれん療法を実施している所を選ぶようにしましょう。 […]
[…] 骨折などのリスクを減らした修正型電気けいれん療法を受けられる病院を選ぶことは、うつ病患者にとって大切な事です。 […]