間違ったら危険!電気けいれん療法病院選びの大切なポイント

心療内科での治療電気けいれん療法

電気けいれん療法(ECT)とは精神科で行われる治療法の一つで、適応症例はうつ病、双極性障害、統合失調症などを初め広く精神疾患を対象に実施されています。
この治療はその名の通り、患者の脳に電気を流す手技を指す訳ですが、イメージすると恐怖や抵抗感を覚える方も多いでしょう。

他方で電気けいれん療法の精神疾患に対する効果については、高い治療結果を達成することが確かなため、薬物療法と並んで精神疾患に対する治療法の一翼を担いつつあります。

電気けいれん療法の特徴

頭部への電気刺激が脳機能を正常化させ症状も緩和される効果は強いのは軒並み合意が見られるのは確かです。
ただ、どのようなメカニズムで精神疾患を改善させるのか、その点について一致した見解があるわけではありません。
有力な仮説としては、多くの精神疾患が神経伝達物質の分泌の異常などに起因すると考えられることから、電気刺激が神経伝達物質の分泌以上を正常化させている、と言う見解です。

意外な印象ですが電気けいれん療法の歴史は古く、治療方法としては確立されたものになりつつあります。
現在のように抗精神病薬が多数選択できる状況に無かった1950年以前ではショック療法と呼ばれる各種の治療法が模索されていました。
そのような手探りの中で偶然発見されたのが電気けいれん療法です。
当時の病院では麻酔などもせず患者は恐怖と苦痛に曝される条件で治療されていたので身体的苦痛は強かったのは事実です。
確かに脳に電気を流すと言うと恐怖や抵抗感を抱きがちですが、現在専門病院などで実施されている電気けいれん療法は、十分な麻酔を使い痛みもコントロールされた環境で治療は実践されるので身体的苦痛も少なく、低リスクで治療を受けることが出来ます。また現在では筋弛緩剤も投与されるので、けいれんが起こらないことになっているので、けいれん発作による骨折や負傷のリスクも無い状況で治療は実施されます。

電気けいれん療法の期間は、通常は一回で終わることは無く、病院で一定程度継続して治療を受ける必要があります。
定量的に何回受ければ良いのか、基準はありません。疾患や症状の推移に応じて電気けいれん療法は、合計で6-15回程度受けることが通常になっています。
電気けいれん療法は、実際の危険度は高いレベルではありませんが、脳に電気を流す措置であるため外来での点滴感覚で受けることは出来ないので薬物療法などに奏功を見せない難治性の統合失調症などの精神疾患に対する最後の治療手段と位置づけられています。
もっとも自殺の危険が切迫している、重度の精神病で緊急に改善が必要な症例では緊急避難措置としてこの治療法が選択されることがあります。

実際の電気けいれん療法の特徴はと言うと、即効性があり、治療効果は高い、反面再発のリスクは変わらない、とまとめることが出来ます。

電気けいれん療法の病院選び

それでは電気けいれん療法を受けるための病院選びのポイントはどこにあるのでしょうか。
当然のことですが、ECT療法に精通した医師や看護師などのスタッフが充実していることがポイントになります。
電気けいれん療法では心疾患や脳出血の既往歴があるなど、実施すると身体に悪影響が懸念され治療対象外になる場合もあります。
そこで頭部CT,心電図、脳波検査など全身状態を把握できる検査機器体制が充実していることも病院選びのポイントです。
現在では無けいれん性通電療法が主流になりつつあり、筋弛緩剤や痛みコントロールのための麻酔管理などが必要になるので麻酔医が常駐しているのかもポイントになります。
筋弛緩剤は心機能に影響する薬理作用を持つので麻酔医がいれば安心して治療に入れます。

治療終了後重篤な副作用は少ないとされていますが、頭痛、吐き気、筋肉痛などが発生するとがあると言われています。
電気けいれん療法を受けても再発率の高さは変わらないため、経過観察中に再度病状が再燃する事態もありえます。
病状が再発悪化しても対応可能な施設であることも病院選びのポイントです。

パルス波・修正型電気けいれん療法が出来る病院を選ぶ

また、厚生労働省や日本精神神経学会が推奨しているのは従来の「サイン波」ではなく、パルス波を用いた電気けいれん療法で、記憶障害のリスクが少ないのが特徴です。
現在、日本では1000以上の病院で電気けいれん療法が実施されていますが、約4割は体にけいれん発作を起こさせる従来の電気けいれん療法です。
骨折などのリスクを減らした修正型電気けいれん療法を受けられる病院を選ぶことは、うつ病患者にとって大切な事です。
治療前には内服薬の服用などについて指導が必要になります。
受診したいクリニックなどが見つかったら、主治医に相談して事前に予約を入れて起きましょう。
人気のある施設では数ヶ月先まで待たされる可能性もあります。
電気けいれん療法は妊婦や高齢者など体力面に問題があったり、薬物治療を継続できない症例でも適応になります。
身体的に薬物療法を継続できない症例でも、症状の劇的な好転につながる可能性があるので、実施数はこの先増加することも見込まれます。

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