日本では、自律神経失調症やうつ病を発症する人が増えています。
特に若い世代の患者が増えており、社会問題にもなっています。
自律神経は、本人の意志とは関係なく生命維持のために自動的に働いている神経です。
自律神経失調症とは
自律神経失調症では、「体温や呼吸」「心拍」「発汗」「内臓を動かす」「血液を流す」「栄養を吸収する」「老廃物を回収する」と言った、頭で考えてコントロールする事が出来ない自律神経に異常をきたしています。
自律神経失調症は、自律神経のバランスが乱れることで起こります。
主な症状としては、
- 体がだるい
- 不眠
- 疲労感
- 頭痛
- 動機・息切れ
- めまい
- のぼせ
- 立ちくらみ
- 下痢・便秘
- 冷え
- 情緒不安定
- イライラ
- 不安感
があります。
自律神経失調症は、弱い部分に現れやすいのです。
例えば、元々偏頭痛持ちの人であれば、他の症状に比べて頭痛が酷くなります。
睡眠リズムが崩れている人は、不眠症と言う形で症状が出てきます。
ただ、自律神経失調症は、病院で検査をしても、体の異常が発見されないことが多いです。
自律神経の乱れは、検査で明らかにするのが難しいのです。
自律神経失調症の原因としては、
- 過度なストレス
- 乱れた生活リズム
- 女性ホルモンバランスの乱れ
などがあります。
自律神経失調症の原因は、人によって様々ですが、ストレスや生活習慣の乱れによって発症する人が比較的多く、男性も女性も発症しますが、女性に多く見られます。
自律神経失調症はホルモンバランスに注意
自律神経の中枢として知られる視床下部は、ホルモンの分泌をコントロールしている部位なので、ホルモンバランスが乱れると、自律神経も乱れやすいのです。
男性は、生涯を通じてホルモンバランスの変化がそれほどありませんが、女性の場合はホルモンバランスの変動が大きいからです。
ホルモンバランスの変化が大きいと、それだけ自律神経が乱れる可能性も高くなります。
自律神経失調症の治療方法
自律神経失調症の場合、その原因を取り除くのが一番の治療になります。
例えばストレスが原因の場合は、カウンセリングや散歩、ストレッチ、入浴、音楽鑑賞などをしてストレス発散をするようにします。
また、生活習慣の乱れが原因になっているケースもあるので、睡眠不足や栄養不足の人は、生活習慣を見直す必要があります。
自律神経失調症で処方される薬は、基本的に対症療法で、症状を緩和させることが目的です。
頭痛がある場合は頭痛薬、不眠の人には睡眠薬を処方すると言った具合です。
そのため、根本的な原因を取り除かないと、いつまで経っても治らないという事があるので注意が必要です。
自律神経失調症と間違われやすいのがうつ病です。
うつ病とは
うつ病の主な症状は、
- 不安感
- 意欲低下
- イライラ
- 集中力低下
- 思考力低下
- 判断力低下
- 自責感
- 頭痛
- 食欲不振
- 倦怠感
- 不眠
などです。
ほとんどの項目でうつ病と類似しているので、混乱するかもしれませんが違う病気です。
自律神経失調症とうつ病には大きな違いがあります。
大きな違いとは何かというと、うつ病は主に心に症状が出るのに対して、自律神経失調症は体に症状が出ることが多いのです。
うつ病は、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンと言った脳の神経伝達物質が減少しています。
また、前頭葉の血流も低下している事が分かっています。
ですから、治療法も自律神経失調症とは異なるのです。
うつ病の治療方法
うつ病では、抗うつ剤を中心とした薬物療法がメインになります。
減少している脳内神経伝達物質を抗うつ剤で補いながら、自然治癒力で脳の機能を修復していきます。
また、うつ病の大敵はストレスなので、必要に応じてカウンセリングや認知行動療法を取り入れます。
注意点としては、抗うつ剤が効果を発揮するまでに2~3週間程度必要な事です。
服用しても副作用が強くて、効果が感じられないからと言って、独断で断薬をするのは良くありません。
その人に合った抗うつ剤を見つけるのには更に時間を要するので、長いスパンで治療効果を見極める必要があります。
また、中には抗うつ剤の反応が低い人も相当数います。
症状がきつくて、耐えられない場合などは、電気けいれん療法を受ける事も考慮した方が良いでしょう。
自律神経失調症からうつ病になる事も
自律神経失調症を治療しないで放置しておくと、やがてうつ状態になり、更に悪化するとうつ病に発展してしまう事があります。
自律神経失調症であれば、脳の機能に障害は出ていないため、原因を取り除けば改善します。
ただ、不眠などを放置したり、ストレスをかけ続ける事によって、うつ病に発展する可能性があるのです。
そのため、自律神経失調症の間に適切な治療を行う事が大切になってきます。
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