2011年度に日本看護協会が行った調査で、うつ病などメンタルヘルスの不調で休職をする20代の看護師が多い事を明らかにしています。
メンタルヘルスの不調により長期休暇を取得している看護師は、1病院あたり1.1人となっています。
年代別に見ると、20代が全体の46.7%も占めていて、年代が進むにつれて減少しています。
20代の看護師は何故うつ病にかかりやすいか
看護学校を卒業して、無事に病院勤務になった新米看護師は学生時代にはなかったストレスに悩まされることが多くあります。
看護師の仕事内容は、医師が患者の診察や治療を行う際のサポート、病気や怪我をしている患者のケアです。
具体的には、
- 血圧測定
- 体温測定
- 脈拍の測定
- 注射
- 点滴
- 採血などの治療補助
- 食事やお風呂、ベッドメーキングなど患者の身のまわりの世話
などがあります。
ある程度は看護学校で学んできたことですが、病院勤務になると、全てが実践になり失敗が即命取りになりかねない、プレッシャーのかかる仕事になります。
看護師の種類
看護師と一言で言っても、担当によって仕事内容は異なります。
- 医師の仕事がスムースに運ぶように手助けをする【外来看護師】
- 治療や身の回りの保清をメインに行う【病棟看護師】
- 手術の介助を行う【オペ室看護師】
- 集中的な治療介助、看護、観察を行う【ICU看護師】
その中でもオペ室看護師は、手術をする時に器械出しを行うため、手術が成功するか、どれだけ患者に負担をかけずにスムーズに出来るかがかかっている仕事です。
執刀する医師のストレスも当然大きいですが、裏方として働く看護師にとっても同じくらい大きなストレスがかかっています。
また、ICU看護師は集中治療室で治療を受けている患者に異変がないかを随時チェックしなければいけなく、ちょっとした判断ミスが患者の命を奪いかねない仕事となっています。
うつ病と言うと、「メンタルの弱い人間がなる病気」と言う偏見を持っている人もいますが、これら看護師の仕事は通常の人が経験する事のない程、大きなストレスにさらされるものです。
患者からのクレーム対応でうつ病になる看護師も
オペ室看護師やICU看護師のようにプレッシャーのかかる業務内容によってうつ病を発症する看護師もいますが、患者からのクレームでメンタル疾患になる看護師もたくさんいます。
ナースコールで頻繁に呼び出される
病院食がまずい!
看護師の態度が悪い!
など、ケガや病気をしている患者さんは何かとイライラしていて、不満を誰かにぶつけたい事も多いようです。
そして、そのはけ口となっているのが、看護師になります。
看護師のクレーム対応方法
看護師にはクレームがつきものなので、その対応マニュアルが用意されています。
- まず相手に「共感」する
- しっかりと話を最後まで「傾聴」する
- 訴えている事実の経過を「確認」する
- 上記を踏まえて、解決方法を「提案」してみる
と言った順番で進めないと、患者の怒りや不満を解決する事は出来ません。
看護師は日々時間に追われるように、業務をこなしています。
その間に、患者からのクレームが入ると、対応がおろそかになる事も当然あります。
しかし、そうなると患者のクレームは師長に行く事もあり、更に大事になるのです。
20代の若い看護師にとって、患者からのクレーム対応や日々の業務は慣れないことだらけです。
ある程度場数をこなしていくと、どのように対応すれば良いかもわかってきますし、院内での立場も強くなるので、ストレスは軽減するかもしれません。
しかし、院内の環境や遺伝的要素で、うつ病になってしまう看護師が多いのが現状です。
看護師がうつ病になってしまうと危険!
看護師になる人はそもそも奉仕の心が強い人が多いと言えます。
そのため、多少の事を我慢してしまう性格の人が多いのです。
ストレスを溜め込んで、うつ病になってしまっても、「他の看護師仲間に迷惑をかけられない」との強い責任感からうつ病を悪化させる人も多くいます。
しかし、看護師がうつ病になっても、まだ仕事を続けることは非常に危険が高いと言えます。
うつ病の症状として
- 集中力の低下
- 記憶力の低下
- 思考力の低下
があります。
看護師の仕事は基本的にミスが許されないと言えますが、うつ病になってしまうとどれだけ注意していてもミスを繰り返してしまいます。
その結果、患者や医師に多大な迷惑をかけるだけでなく、患者の命すら脅かしかねないのです。
「メンタルが弱っているかも」と感じたら、心療内科を受診して早めに治療をするようにしましょう。
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