うつ病であれば一度くらいは「やる気が出ない」と悩んだことがあると思います。
 「何とかやる気を出して、仕事をしなくては!」
 「家事をしたいけれど、どうしてもやる気が出なくて困る」
 などです。
あるいは、家族や会社の上司から
 「うつ病なんて、やる気の問題だ!」
 と怒られた人もいるでしょう。
うつ病でやる気が出ないのは脳からの警報
でも、うつ病でやる気が出ないのは正常な証拠なんです。
 そもそもうつ病は過剰なストレスによって脳がパンクしている状態です。
 これ以上無理をしたらダメだと脳が体に警報を出しているんです。
うつ病の症状
うつ病では精神的な症状として、
- 焦燥感
 - 気分の落ち込み
 - 理由もなく悲しい気持ちになる
 - 好きな事に興味が持てない
 - 自分を責める
 - 不安で落ち着かない
 
などがあります。
 これら一つ一つは誰にでもある事なので、ほとんどのうつ病患者は「やる気」で何とか克服しようと考えます。
しかし、脳は限界を超えているので機能は低下しています。
 また、神経伝達物質は正常に分泌されなくなっています。
 そんな状態で無理やり「やる気」を出したらどうなるか・・・
「やる気」で乗り切ると悪化する
ストレスが大きくなってうつ病が悪化するに決まっていますよね。
 仮にその時は何とかやる気を出して乗り切れたとしても、次はもっとやる気が出なくなります。
 もっとうつ病は悪化して、身体も脳も精神もボロボロになっていきます。
 そもそも、ストレスが原因で脳の病気になったのですから、更にストレスをかけると絶対にうつ病は悪化します。
うつ病とやる気のメカニズム
うつ病が発症するメカニズムで一番有力な考え方は、「モノアミン仮説」です。
 脳内神経伝達物質であるセロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンなどのモノアミンが減少していると言うものです。
 脳内神経伝達物質にはそれぞれ役割があり、主な物としては
- セロトニン 精神の安定・意欲
 - ノルアドレナリン 不安・恐怖・怒り・意欲
 - ドーパミン 快感・喜び・攻撃性
 
があります。
 「やる気」は「意欲」と直結しているので、セロトニンとノルアドレナリンの減少が大きく影響していると言えます。
 「やる気は、気の持ちようでどうとでもなる!」と言う人もいますが、それは間違いです。
 セロトニンやノルアドレナリンが分泌しない事にはやる気は出ませんが、うつ病になると分泌自体が極端に少なくなっているので、やる気はどうやっても出ないのです。
SSRIやSNRIと言った抗うつ剤を飲むことでセロトニンやノルアドレナリンの量を一時的に増やす事が出来ますが、無理をするとすぐに枯渇してしまいます。
うつ病で頑張るのは間違い
うつ病で頑張る事は絶対にしてはダメなんです。
 新型うつ病であれば、多少は動いた方が回復するのも早い事がありますが、一般的な大うつ病は絶対にダメです。
だから「うつ病でやる気が出ない」と悩むのではなく、「脳が休めと警告しているんだ」と捉えましょう。
 「やる気が出ない」と悩みながら動かない体と格闘していては、脳は全くと言って良い程回復してくれません。
しかし、「仕方がないから、ゆっくり休もう」と腹をくくって、リラックスすれば脳は休息するのでうつ病の回復も早くなります。
震災や火事など生死を分けるような場面では、やる気を出す必要もありますが、そうでないのならばゆっくり休みましょう。
とにかく休むことが大切

もし、仕事が忙しいのであれば、休職をしましょう。
 仕事が無くて収入に困っているのであれば、障害年金を受給しましょう。
うつ病を患っている限り、あなたの「やる気」はいつまで経っても出てきません。
 しかし、うつ病を克服すれば、自然と体の底からエネルギーが溢れてきます。
無理をしてやる気を出している限り、その瞬間は一生やってこないかもしれません。
 何年かかろうとも、今は休むべき時なのです。
 無理をせずに、少しずつうつ病を回復させましょうね。




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