うつ病に「がんばれ」が禁句と言われる本当の理由

過労の男性うつ病

うつ病患者に対して「がんばれ」と言う言葉は禁句であると良く聞きますよね。
その理由についてご説明します。

うつ病には種類が2つ「大うつ病」と「新型うつ病」があります。
私は長いうつ病歴の中でどちらも経験しているのですが、苦しみはどちらも変わりません。
しかし「がんばれ」と言う言葉への反応は若干違ってきます。

脳疲労のメカニズム

うつ病患者の脳はモノアミンと呼ばれている脳内神経伝達物質が減少していると言われています。
一般的に、運動した後は筋肉に疲労物質がたまり、それを脳が「これ以上疲れたら危険」と判断して「体が疲れた」と感じています。
運動を始めると、自律神経の働きにより、心拍数や呼吸がはやくなります。また汗をかいて体温の調整も行います。これをコントロールしているのが、脳の中にある視床下部や前帯状回になります。
つまり、運動をしていると、脳は体のどの部分よりも疲れるのです。
運動でも脳が一番疲れるのですから、パソコンなどのデスクワークでも疲労を一番感じているのは脳になります。

うつ病は脳疲労が尋常ではない

しかしうつ病患者の場合は、健常者が感じている疲労のメカニズムとは異なります。
運動やパソコン作業など何も行っていなくても、モノアミンが減少している事により、脳が「疲れた」と信号を常に出しているのです。
しかも重度であればあるほど、感じている疲労感は途方もないものになっています。
まさに体が疲労感で体が全く動かない状態です。

大うつ病に対して「がんばれ」は禁句

大うつ病は責任感が強い人がなると言う特徴があります。
そのため、周りの人間から「がんばれ」と声を掛けられると、何としてでも頑張ろうとします。
しかし、先述した通り脳は最大級のアラームを発して、身体に極度の疲労を感じさせてこれ以上動かないようにしています。
そんな中で頑張ろうとするとどうなるか。

大うつ病への「がんばれ」は悪化させる

自分を叱咤激励して、ストレスを過剰にかけてでも、動かない体で何とか頑張るしかないですよね?
うつ病のトリガーとなるものは殆どがストレスです。
ストレスを過剰にかけて限界を超えた時にうつ病を発症させます。
当然、うつ病を改善させるためにはストレスから出来る限り離れなければいけないのですが、「がんばれ」という言葉はストレスを更にかけさせることになるのです。
その時は何とか乗り切れるかもしれませんが、うつ病は更に悪化してしまうので、いつまで経っても治る事はありません。
よく、うつ病患者に「がんばれ」と言うのはフルマラソンを走り終えた後に、更にもう一回フルマラソンを走らせるようなものと表現されます。
本当にその通りで無茶苦茶な事を要求している事になりますし、何よりそんなことを繰り返しているとうつ病はどんどん悪化するだけです。

新型うつ病には「がんばれ」禁句ではない

一方で、新型うつ病の患者に対しては、少しの励ます言葉は必要だとさせています。
例えば、新型うつ病の特徴的な症状に「鉛様麻痺」と言うものがあります。
その名の通り鉛のように体が重くて動かなくなるのですが、これは寝たきりになっていても治るものではありません。
少しずつで良いので、散歩などして体を無理にでも動かす必要があります。
また、新型うつ病の性格として、「嫌な事は避ける」と言うものがあります。
これだけ聞くと新型うつ病=甘えと取られがちですが、人間は本質的に怠ける生き物と言えるので、新型うつ病だけが特別なのではありません。
また、症状が苦しいのは大うつ病でも新型うつ病でも変わりはありません。
私個人の体験からすると、新型うつ病にかかっていたときの方が、症状はキツく苦しい物でした。

新型うつ病への「がんばれ」は気持ち次第

新型うつ病に対しては励ましの意味で発する「がんばれ」は禁句にならないと言えます。
しかし、「怠けてないで、ちょっとはがんばれよ!!」といった言葉は間違っています。
新型うつ病の患者は必死に頑張っています。
ただ、多少頑張る事でうつ病の症状が良くなる可能性が高いので、禁句にはならないだけです。
しかし、責めるような言葉はうつ病の苦しさを全く理解していない言葉で、独りよがりでしかありません。
そんな言葉をかけられた人間は、うつ病に限らず誰でも嫌になりますよね。

「がんばれ」はうつ病の種類と言う方の感情による

まとめると
いずれにしても、うつ病の本質を理解しない事には、何が禁句でどんな接し方をすればよいかは分からないです。
小手先の言葉を取り上げるのではなく、うつ病になっている人の脳の状態や性格、うつ病の特徴を理解する事で、かける言葉は自然と分かるようになりますよ。

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