うつ病は、誰でもかかる可能性のある病気です。
うつ病はメンタルな症状にばかりスポットが当たりますが、脳内物質の分泌異常に由来する、フィジカルな側面があることも知られるようになってきました。
こうしたうつ病の認知度が上がる一方で、国内では再就職において不利になることも事実です。
それにはいくつかの理由があり、どれも社会のあり方と密接に関わっています。
うつ病は寛解するまで時間かかる
まずは、うつ病の改善には長い休暇が必要であることです。
度重なるストレスは、抵抗力を弱め、体質そのものを変えてしまいます。
それは単なる気分の落ち込みに留まらず、アトピー性皮膚炎などを発症することもあります。
退職してから再就職するまでの期間が長い程、書類選考や面接で落とされる可能性は高くなります。
また、再就職するまでの期間が数か月もあくと、面接官から必ずその理由を尋ねられます。
うつ病をオープンにする場合は、正直に治療していた事を伝えれば良いですが、クローズにする場合は、整合性の取れた返答を準備しておく必要があります。
回復してからも気が抜けない
うつ病が回復の兆しを見せても、油断は禁物です。
ある程度体が動くようになると、リスカなど自傷行為で自分自身を傷つける行為に走ることも少なくありません。
そうした行動を防ぐためには、認知行動療法などでうつ病によって歪められてしまった認知を正すことも求められます。
心身両面からのケアを続けなければならない以上、再就職まで長い時間がかかることを覚悟しなければなりません。
寛解しても再発のリスクが高い
うつ病を寛解させて、再就職を目指したとしても、問題は山積みです。
うつ病への理解が深まってきたとはいえ、未だ浅い認識を持ったままの経営者は枚挙に暇がありません。
そのような人物は、平気で相手を傷つけるような言葉を吐くものです。
一代で会社を興した人間ほど、自分の成功体験に縛られて、他者を見下す傾向性があります。
そのような会社では、働いてからも不利益ばかり被るため、面接段階で断ってしまうのが一番です。
しかしかながら、心無い言動で傷ついてしまうのも確かで、ときにはうつ病の再発にも繋がる恐れがあります。
こうした立場ある人間の不見識もまた、再就職を妨げる社会的要因となっているのです。
労働環境の悪化
そして近年における労働環境の悪化は、再就職後の生活にも大きな影を落とします。
うつ病には過剰なストレスは禁物であり、寛解後も、抵抗力は他人より弱まっていることがほとんどです。
長時間労働や休日出勤、理不尽な要求やクレーム処理などといったことは、多大なストレスとなって襲いかかります。
こうした案件は、以前よりはるかに増えてきており、メンタルヘルス問題は深刻化しているのが実状です。
うつ病経験者にとっては、あまりも辛い状況ですので、すぐに退職してしまうケースも跡を絶ちません。
離職すると再就職は更に困難に
そして離職すると、たちまち経済的な困窮が始まります。
これもまた、重大な心理的負担となり、うつ病再発へのリスクが高まってしまうのです。
もちろん、2度、3度再就職を繰り返してしまうと、履歴書は短期間で退職した会社がずらりと並んでしまい書類選考すら通らなくなります。
ひたすらハローワークに通うだけの日々になってしまいます。
以上のようなケースは、決して特異なものではなく、うつ病になれば誰にでも訪れる可能性がある悪循環です。
再就職の社会的役割
個人の責任が強く叫ばれる一方で、実は社会問題を真正面から受け止めなければならないのが今の日本です。
再就職のみならず、うつ病患者にとっては、多くの面で非常に厳しい状況が待ち受けています。
障害者雇用が追い風!
しかし、再就職を目指す時に障害者手帳を取得しておくと、精神障害者として障害者雇用の求人にも応募が出来ます。
実は、民間企業における障害者雇用は年々増加傾向にあるのです。
そして、日本が力を入れている施策の一つに障害者雇用の引き上げがあるのです。
全ての企業は法定雇用率以上の障害者を雇用する義務があるのですが、その法定雇用率が平成25年4月に1.8%から2.0%に引き上げられました。
現在はまだ精神障害者は義務化されていませんが、これも2018年4月からは障害者手帳を持つ精神障害者の雇用が義務づけられるようになります。
うつ病患者は増加の一途をたどっていますが、厚生労働省が積極的に施策を行っているので精神障害者としての再就職は追い風と言えるでしょう。
障害年金や生活保護も検討を
たとえば経済的に行き詰まり、社会復帰もままならないのであれば、障害年金や場合によっては生活保護の利用も検討していくべきです。
ただ、窓口に出向くのも負担になるものですから、周囲の手助けも重要となります。
家族が支えることも多いでしょうが、決して共倒れにならないよう、ケアする側にも休息が肝要です。
注意点として、障害年金を申請する時は、一度提出した書類は差し戻す事が出来ない事があります。
そのため医師に記載してもらう「診断書」や自分で記入する「病歴・就労状況等申立書」が受給に該当するかどうかを提出前にしっかりと確認する事が大切です。
うつ病の症状を持ちながら一人で申請するのが不安な人は、社労士に依頼するのも一つの方法です。
また、私のコミュニティでは、「うつ病で障害年金2級を受給するためのポイント」を動画でお伝えしたり、個別サポートもしているので、ご連絡してもらえれば対応致しますよ。
うつ病特有の周期を覚えておく
再就職と同時に、うつ病が酷くなる周期を把握するのも、克服に役立ちます。
気象条件との関連性も、最近では判明するようになってきました。
中でも気圧が低下すると、気分の落ち込みも比例する人がいることが報告されています。
こまめにメモなどを残し、状況を客観視するのも有効な手段です。
体調の波が落ちそうなときは、予め頓服を余分に持っていると安心できます。
焦ることも、諦めることもせずに、気長に改善を試みることが、結局は一番の近道となります。
うつ病を乗り越えて、問題なく再就職もできる自分になっていきましょう。
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