うつ病が血液検査で分かる時代に突入!PEAが偏見をなくす?

血液検査うつ病

うつ病は偏見の塊と言っても過言ではないでしょう。
どれだけしんどく辛い状態にあっても、客観的にうつ病を指標するものがないため、「気の持ちようだ」「嘘つくな」「怠けているだけだ」と言われてしまうからです。
日本でうつ病かどうかを判断するのは、世界保健機関(WHO)が作成した「ICD-10」(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)をベースに精神科医が問診を行い決定します。
これは、質問にどのように返答するかで重症度が変わってくるため、「うつ病は怠け病だ」と決めつけている人を説得出来るものではありません。

しかし、近年うつ病を血液検査で客観的に指標するという研究が進んでいます。

「PEA」がうつ病の新しい指標となるかも

血液検査でうつ病かどうかが分かるというのは、いささか驚くべきことでもあります。

毎年町や会社で行われる健康診断でも、血液検査は行われますし、健康管理の上でも必要です。

その血液検査をすることで、うつ病かどうかを知ることが出来るのは、PEA(リン酸エタノールアミン)の濃度での判定になります。

人間の体内を常に駆け回る血液には、多くの情報が含まれていますので、血液検査をすることで、その時の健康状態を知る事になります。

毎年の検診でも、体調の乱れたときにも、血液の検査は健康状態を知るために必要な手がかりとなる方法です。

PEA(リン酸エタノールアミン)とは

うつ病の指標となると期待されているものは、PEA(リン酸エタノールアミン)と言うバイオマーカーです。
もしくは、EAP(エタノールアミンリン酸)と呼ばれているものです。

うつ病になるとセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンと言った脳内神経伝達物質が減少すると言われています。
しかし脳内神経伝達物質はそれ以外にも存在していて、アセチルコリンやギャバ、グルタミン酸、アナンダミドと言ったものもあります。

PEAは脳内に存在しているリン酸アナンダミドから作られる化合物なのですが、分解されることでPEAとアナンダミドに分かれます。
アナンダミドは脳内で吸収されるので、現在の科学力では測定は困難ですが、PEAは血液に交じってを体中に流れていきます。
そのため、一般的な血液検査で採取する方法で、検査が可能なのです。

元々、リン酸アナンダミドと言う化合物からPEAとアナンダミドに分かれているので、PEAが少ないとアナンダミドも同じように少ないだろうと言う仮説が成り立ちます。

PEAの参考基準範囲

実際に、血液中のPEAを測定すると、正常な人のPEA濃度が2.0~3.0μM(参考基準範囲)に対して、うつ病患者では1.5μM以下になる事が分かっています。
また、PEAの数値が低ければ低い程重度のうつ病と言われています。

PEAが治療を変える?

PEAはうつ病かあるいは、双極性障害や統合失調症など別の病気かどうかを判断する事が出来ます。
その正確性は8割から9割程度あると言うので、かなり信頼性が高い検査という事が出来るでしょう。
しかし、PEAの役割はそれだけではありません。
うつ病で治療を受ける前は1.5μM以下だった患者が、適切な治療を受けて寛解するとPEAも正常値に戻る事が分かっています。
つまり、現在行っている治療が適切かどうかを客観的に判断出来るのです。
一定期間治療を行い、PEAが上昇していないようであれば、その治療法は効果がないと考えられるので、別の治療法を試す方向にシフトすれば良いのです。

PEAが抗うつ剤を判断する?

通常、抗うつ剤はSSRIとSNRIがあります。
SSRIはセロトニンを増加させ、SNRIはセロトニンとノルアドレナリンを増加させます。
どちらの抗うつ剤を使用するかは、主治医のこれまでの経験が大きく影響していました。
しかし、PEAを測定すると、SSRIを服用した場合PEAは下がり、SNRIを服用するとPEAは上がります。
つまり、PEAが低い患者にはSNRIを、PEAが高い患者にはSSRIを投与した方が良いと考えられます。
抗うつ剤は服用してから効果が出るまで、2~3週間必要でした。
経過観察を含めると1か月程度は同じ抗うつ剤を服用して、効果が出ているかを見定めます。
そして、1カ月経過して薬物反応が低いようならば、別の抗うつ剤を試します。
しかし、PEAを初めに測定する事で、予め効果が出ると想像される抗うつ剤を最初から服用する事が出来るのです。

PEAは万能ではない

良いことづくめに見えるPEAですが、問題点がないわけではありません。
まず、現在は保険診療は適用されていないため、全額自費となります。
また、正確性が8割から9割あると言うのも、「現在の研究段階の話し」に過ぎません。
これから厚生労働省が保険診療にするかどうかを進めていく中で、実際にはそんなに高い正確性ではなかったとなる可能性も充分あります。
そして、一番の問題点は、明らかにうつ病なのにPEAが正常値に入ってしまった場合です。

PEAの測定結果がうつ病患者の人生を左右する

PEAの血液検査を受ける人は、うつ病を数値化して周囲の人間に理解して欲しいと言う強い気持ちがあります。
もしもPEA血液検査の結果が参考基準範囲に入ってしまうと、周囲の人間の偏見が更に強くなる事は想像に難くありません。

これは、光トポグラフィーのような検査にも同じことが言えますが、正確性が高ければ高くなるだけ、うつ病と判断されなかった時のショックは大きくなると言うリスクも加味しなければいけません。

血液検査でうつ病の偏見は少なくなる

うつ病の判断はPEAの濃度での判断であり、8割ほどの確率で1.5μM以下だとうつ病の判断です。
これまでのケースでは患者からの口頭での説明や、症状などからうつ病の判断をしてきましたが、血液を採取しての検査でわかると、うつ病という証明もしやすくなります。
血液の数値的に判断をされることで、自己申請だけとは異なり、周りの人間からの理解も、今までよりも得られるようになる期待があります。

PEAは研究用の検体検査

PEAの検査は通常の血液センターでは測定する事が出来ません。
PEAは、ある種のリン脂質から生成されるアミン類で、 分子量が小さく血中濃度も低いため、従来の分析法では正確な検査が行えません。
HMTバイオメディカルと言う血液センターに依頼する必要があるので、受診している心療内科で検査をしてもらえるかどうかを確認する必要もあります。

PEAの測定方法

HMTバイオメディカルでは、HMTのメタボローム解析技術を用いて血漿中のPEA測定を可能にしています。

PEA以外の血液検査の見方

血液検査を行うと、PEA以外の測定結果も受け取ることが出来ます。
血液検査の結果が出たら、まずは受け取った結果をチェックして、基準値に入っているのか、なにかの疾患の予備軍ではないか、確認をするのは大切なことです。基準の数値の範囲に入っていれば、健康状態には問題がないと受け止めがちですが、数値がギリギリだとそうとも言えません。出てきた数値がギリギリ出会った場合、それはなにかの疾患の一歩手前という理解であり、疾患の予備軍ですから、生活などの改善を試みる必要もでてきます。

善玉コレステロール

検査結果の記号でHDLは善玉コレステロールのことであり、基準の数値は40から90になります。イメージ的に血液での検査で出てきた数値は、高いと良くないい印象ですが、善玉コレステロールの数値は、高いほうが良いです。理想としては60以上が、善玉コレステロールの数値となります。

肝機能

お酒を飲む機会も多い働き盛りの年代の人や、年齢を重ねた人などは、肝臓に関わる健康も気にします。ATLの数値は、肝臓の状態を知ることのできる数値であり、10から30が基準値になります。肝機能障害の予備軍は、数値が20以上からなので、安心をしてもいられないです。
それ以外にもGPTやGPT、GGTなども肝機能の状態を表しています。

過剰なアルコール摂取は控えるのとともに、過剰な糖分の摂取も肝臓には負担ですので、食生活には注意をする必要があります。
肝機能障害を起こさないためにも、お酒や甘いものは控えめにして、日頃から体を動かすようにするのも大事です。
お酒も糖質の多い食べ物も適量は美味しいですが、健康を考えると、ほどほどに控えたほうが自分のためになります。

血糖値

血糖値はGLUやヘモグロビンA1Cで確認します。
うつ病を予防するためにも、改善していくためにも、糖質を過剰に摂取する食生活は控えることです。
精白された砂糖は体内で、急激に血糖値を上げるため、体内ではたくさんのインシュリンが分泌されます。
急激に上がった血糖値は、インシュリンにより下がりますが、糖質を頻繁に食べていると、アップダウンが激しくなります。
精神的にも安定しない状態になりますし、糖質を含む食べ物は依存性があるので、食べるともっと欲しくなり、負のループになるのも厄介です。

糖質は体内で分解をするために、ミネラルやビタミンも過剰に消費をします。
うつ病対策としても、健康のためにも、糖質はある程度控えて、野菜や海藻類などの栄養豊富な食事を心がけると良いです。

コメント

  1. […] しかしそれも、近い未来無理になると思われます。 と言うのも、血液検査の技術が進歩して一部ではうつ病の判断が可能になってきているからです。 まだ厚生労働省が認可しているわけではないですが、PEA(リン酸エタノールアミン)と言ううつ病の指標となるバイオマーカーを調べる事で、うつ病かどうかだけでなく、どの程度重症化を判別できるようになってきています。 PEA測定がうつ病の判断基準として正式に認可されれば、仮病を使う事はもはや不可能と言えるでしょう。 […]

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