うつ病の再発を防ぐ「認知行動療法」とは!方法もご紹介

うつ病

うつ病の再発を防ぐことができるとして近年注目されているのが認知行動療法です。
メジャーな病気となりつつあるうつ病は誰もがかかる可能性があり、その原因も人間関係のトラブルによるものや環境変化をきっかけとしたストレスなど様々にあります。

長期化しやすく、再発してしまうことも少なくありません。一般的にうつ病の治療のためには薬物療法が用いられますが、原因に対して直接アプローチするものではないため、一旦元気になっても元の環境に戻ったら再発してしまったということはありがちです。
こういったことを改善するには患者自身の認知を変化させる必要があり、そのために用いられるのが認知行動療法になります。

認知行動療法とは

認知行動療法とは、否定的になってしまった思考のパターンや考え方の癖を修正し、ストレスを緩和する治療法です。
精神的な疾患を治療するだけではなく再発も防止できるため欧米では高く評価され、積極的に取り入れられています。

なぜこの手法が効果的であるのかを知るためには、まずどのようにしてうつ病になるのかを知らなければなりません。
精神的な疲労やストレスが重なると起こりやすくなるといわれていますが、例えば同じ職場にいても発症してしまう人とそうでない人がいることから、同じ環境やストレスを受ければなってしまうものではないということが分かります。

精神の弱さやストレスに対する耐性の強さで片付けてしまう方もいますが、問題がそういった部分にだけあるとは言い切れないでしょう。
キーワードとなるのは認知の歪みです。
認知とはつまり考え方や思考のことであり、それらが歪んでしまった状態を指します。
特徴的なものとしては、失敗を決して許さない完全主義な考え方や、よい部分には目を向けずに欠点にだけ目を向けてしまう、関係ない物事を関連付けたり、根拠にならないことを元に判断したりしてマイナスにとらえてしまうといったことが挙げられます。

こういった思考が続いてしまうと自己否定に繋がってしまうだけではなく、些細なストレスを大きく感じてしまうようになります。
一度認知が歪んでしまうと薬や環境の改善による回復は難しいため、歪んだ認知自体を修正する必要があるのです。

考え方にアプローチする治療法

認知行動療法は元々認知療法と行動療法という別々の治療法としてスタートし、後にそれらが統合されたものです。
認知療法とは文字通り考え方に対してアプローチする方法です。
何らかの出来事に対して必要以上に悪い感情を抱いてしまうのは思考のプロセスに歪みが生じていると考え、それを修正することを目的としています。
それに対して行動療法は行動に着目し、誤った条件付けや学習を変化させることで問題の解決を試みる方法です。
例えば電車に乗るとお腹を壊してしまうといったことが何度か続くと、偶然であったにもかかわらず電車に乗ると腹痛が起こるという間違った学習をしてしまい、場合によっては電車に乗ることができなくなってしまいます。
改善のためには多様なアプローチの仕方がありますが、まずは知り合いと一緒に一駅だけ、人の少ない時間に一人で、といったように段階的に条件を変化させるなどの方法が取られます。

認知行動療法のやり方

認知行動療法のやり方には様々ありますが、その1つとなるのがワークシートなどに自分の考え方を書く方法です。
書かずに医師やカウンセラーとの会話で行うこともあるものの、実際に文章として書くことでより客観的に自分を見つめなおすことが可能です。
ワークシートであれば整理しやすくなりますが、紙やノートでも構いません。
まずはその日にあった出来事を書き出します。
上司に怒られた、知らない人がこっちを見て笑っていたなどです。
次に、その出来事に対してどんな気分になったか、その気持ちはどれぐらいの強さだったかを評価します。
さらにどのようなことを考えたかを思い出します。
もう出世することができない、自分が駄目な人間だから笑われた、といった具合です。
ここまでであればただ嫌な気持ちを思い出しただけになってしまいますが、ポイントとなるのはこの先です。

その出来事や感情を分析してみましょう。
どうしてそのように思ったのか客観的に見て確かな根拠があるか、感情を優先して誤った結論に達していないか、他の見方をすることはできないかなどを考えることで、認知の歪みに気付き修正をすることができます。
出来事に直面している間は冷静になることができなくとも、後になってからであれば上司に怒られても不当な評価をされることはなかった、知らない人がどうして自分を笑うことができるのかといった考え方に辿り着くことができます。

自分で行うことも難しくありませんが、カウンセリングを受けながら適切なやり方で進めればより効果的です。
健康保険が適用されるため、負担も大きくありません。

うつ病はかかってしまうだけでも辛いですが、長期化や再発の可能性があり、悩んでいる方も多いでしょう。
薬物療法だけではなく認知行動療法も取り入れることで、歪んだ認知から脱出しうつ病を改善することが大切です。

コメント

  1. […] うつの人の思考パターンには傾向があるので、認知行動療法などで病気を起こしやすくしてしまう思考パターンの土台を変えることが大切です。 仮に「仕事が多すぎて終わらない」という時に「やっぱり自分はダメだ」と考えるのではなく「誰かにできないぶんは手伝ってもらおう」などと前向きに考えられるようにしていけるようにすると良いです。 考え方ひとつで気分は変わってくるので、社会復帰を手助けする役に立つでしょう。 […]

  2. […] カウンセリングの技法には、ロジャーズ法といって、傾聴をメインにするやり方と、認知行動療法のような、カウンセラーと共に解決策を模索するようなカウンセリングがあります。 今現在、うつ病に効果的と言われているのが、この認知行動療法です。この技法によるカウンセリングの役目は、うつ病患者の考え方の癖を見つけ出すことです。先ほど例に挙げたような、完璧主義や白黒思考などがよく取り上げられます。 うつ病になる人の特徴として、グレーゾーンがないことがあげられます。 話をしながら、カウンセラーが「こういう考え方もありますよ」というような、思考の多様化を促します。 「これがダメなら、あれがある」というような考え方をうつ病患者に知ってもらう事から始めます。 そして、自分の行動をカラム表という表を作成して、その時の気分などについて点数をつけ、自分を客観的に見る癖をつけます。カウンセリングが進むうちに、だんだんといろいろな考え方があることに気づき、修正していき生き方が楽になっていきます。まずは、相性の良い、話しやすいカウンセラーをみつけることが大切です。また、カウンセリングはうつ病患者だけではなく、うつ病患者を支える家族のためにも行われます。 […]

  3. […] プログラム内容としては、マイナス思考を少しずつほぐしていく事ができる「認知行動療法」や心身の疲労のサインに自分が気付けるようになる事で対処法を工夫しながら集中力を鍛えることができる「オフィスワーク」、自分自身の認知のクセや対人関係パターンなどに気づくことで自己理解を深めてストレスコーピング(対処)スキルを向上させる「セルフケア」などがあります。 […]

  4. […] うつ病を改善方向に向かわせたいのであれば、服薬治療だけではなく認知行動療法などの心理療法も受けた方がいいでしょう。 心療内科などの病院では問診と体の状態をチェックして、問題がなければ今までと同じ薬を処方されて終わりです。 これを延々と繰り返しているだけですから、考え方の基礎がバラバラになっている人は短い診療時間だけでは改善が難しいです。 心理療法はカウンセリングも兼ねて時間をかけて行うので、間違った考え方を正していきやすいです。 […]

  5. […] うつ病の場合、精神的に不安定になるのはある程度仕方のない事です。 抗うつ剤や安定剤がしっかりと効果を出してくれれば、極度の不安に悩まされたり、被害妄想になる事もないのですが、人によっては薬に対する反応が低い人もいます。 その場合は、心理療法が効果的と言えます。 中でも、認知行動療法では、【一つの見方だけでなく、別の視点から見た時にどう思うか】と言う訓練を行います。 認知行動療法が身につくと、様々な視点や他の人の意見を取り入れやすくなるので、被害妄想も大幅に減らす事が出来ます。 […]

  6. […] >>認知行動療法に関する記事はこちら! […]

  7. […] 薬物療法以外に厚生労働省が認可している治療法には、認知行動療法や電気けいれん療法などがあります。 […]

  8. […] それならば他の治療法を試してみれば良いのです。 例えば、TMS治療だとか、認知行動療法です。 […]

  9. […] 認知行動療法では、軽度・中度のうつ病に効果が高いと期待されています。 ストレスがかかりやすい思考の癖を修正するのですが、効果が高い方法は認知行動療法を熟知した人とのマンツーマンです。 保険点数の関係上、認知行動療法は医師にとって費用対効果が悪い治療法になっているので、日本ではなかなか普及していません。 また、認知行動療法を取り入れている所でも、グループワークをする事で一気に治療費を稼ごうとしている病院もありますが、あまりおすすめは出来ません。 認知行動療法をするのであれば、病院でどのような内容を行っているかをしっかりとヒアリングしてから参加する事が大切です。 […]