うつ病回復期に出てくる症状と注意点。イライラや希死念慮が強く出る事も・・・

症状うつ病

うつ病を発症してしまった場合、発症から回復までは主に3段階に分かれています。

うつ病の回復するステップとしては、

  • 急性期
  • 回復期
  • 再発予防期

があります。

急性期では、心身ともに辛い症状が出ていますが、回復期に差し掛かるとこれらの症状が緩和されてきます。

低下している脳の機能も抗うつ剤を服用したり、質の高い睡眠を取る事で少しずつ回復傾向に向かいます。

そういう意味においては、回復期はうつ病を克服する上では良い時期ではあるのですが、この時期を甘く見ていると痛い目に合う事になります。

うつ病の回復期とは

ステップ

回復期とは発症から約4ヶ月から6ヶ月以上経過した期間のことで、うつ病の治療によってある程度症状が軽快し、本人の調子も上向きになることの多い時期です。

ただ、調子が良くなったと言っても完全な回復ではないので、調子の波も不安定です。

この時期には早く社会復帰したいという焦りがある一方、再発したらどうしよう、社会に戻れる自信がないなど相反する感情が同時に起きるためイライラが募りやすい特徴があります。

回復期まで来たら一安心と考える患者や家族が多いのですが、実は自ら命を絶ってしまうケースが一番多いのも回復を間近に控えたこの時期なのです。

うつ病発症初期に比べて体の倦怠感や脱力感なども薄れ、やる気も徐々に復活してきます。エネルギーが回復し始める時期なので、自ら命を絶つだけの行動力を得てしまうのです。

イライラが特に酷くなるとその衝動も高まりやすいため、完全に回復するまでは決して楽観視せず、慎重に患者の様子をチェックしていくことが大切です。

症状の現れ方は患者ごとに異なりますが、回復が近い時期には精神的には上向いているのに身体の怠さが抜けきらなかったり、逆に身体は元気いっぱいなのにどうしても気分が落ち込むなど、心身のアンバランスが起きやすいのが特徴です。

 

うつ病の回復期の症状と注意点

うつ病の回復期の症状としては、

  • イライラが収まらない
  • 体調に波がある
  • 希死念慮が強く出る
  • うつ病を克服するまでにはまだ時間がかかる

と言うものがあります。

うつ病の回復期ではイライラが収まらない

うつ病の回復期では、人によっては理由がないにも関わらず、イライラが収まらないケースがあります。

他人から見ても「何をそんなにイライラしているんだ?」と不思議に思うかもしれませんが、脳の機能がまだ完全には正常に戻っていない回復期ではよくある事なのです。

人の感情は環境や出来事に大きく左右されるので、イライラする理由がないのにイライラしているのは不自然に感じますが、最終的に感情を決定しているのは人間の脳です。

うつ病の回復期では脳が「イライラしている」と言った命令を出しているので、セルフコントロールも困難で、ある意味し方のない事なのです。

特に、責任感が強く仕事に早く復帰しなければと思い込むような患者の場合はその傾向が強いです。

うつ病は深刻な脳の病なので、そう簡単に社会復帰できるものではないのです。

 

体調に波がある

回復期とは言っても、うつ病は非常に波がある病気です。
5分前まで調子が良く、何も起こっていないにもかかわらず体調が悪化する事が良くあります。
うつ病は、綺麗な直線のように回復はしません。
時には急性期のような辛い状態に逆戻りする事も頻繁にあります。
うつ病の回復期において大切な事は、無理をしない範囲で少しずつ社会生活を取り戻す必要があります。
会社に復職するために、通勤電車に乗ってみたり、近所を少し散歩したり、図書館で一日を過ごしてみるなどストレスをかけないようにしながらも、再び社会生活を送るための準備をする大切な期間です。

希死念慮が強く出る

うつ病の回復期で一番怖いのが希死念慮になります。
死にたいと思う気持ちがどうしても抑えられない衝動にかれらやすい時期です。
急性期では、あまりの苦しさに死ぬことすらも実行できないですが、回復期には少しエネルギーが戻っているため、自殺未遂を起こしてしまう事は決して稀な話しではありません。
家族や友人の些細な一言に過剰に反応して、自殺を起こしてしまっては取り返しがつかないので、希死念慮が出た時には出来るだけ速やかに主治医に相談をするようにしましょう。
抗うつ剤や安定剤では、どうしても希死念慮が収まらない時には電気けいれん療法が有効な手段になります。

うつ病を克服するまでにはまだ時間がかかる

うつ病を発症してから、急性期を乗り越えるまでにすでに半年程度時間がかかっていると思います。
しかし、本当の意味においてうつ病を克服するにはまだまだ長い期間が必要です。

多少調子が良くなったからと言って、独断で断薬をしたり、通院を止めてしまう人が多くいます。
残念ながら、回復期においても抗うつ剤は大きな役割を果たしているので、断薬するとすぐにうつ病は再発してしまいます。

会社に復職すると、休職している時のようにいつでも通院出来るわけではありません。
通院が億劫になる事もあるかもしれませんが、主治医に日々の体調を診察してもらい、きちんと服薬する事がうつ病からいち早く立ち直る手段なのです。

うつ病患者で一度休職した人は、5年以内に約半数の人がうつ病を再発させて再度休職すると言われています。
特に復職してから2年間は再発率が非常に高くなっています。

逆に言うと、うつ病を本当の意味において克服するためには、2年間は必要と言えるのです。
更に悪い事に、うつ病は再発させればさせる程、治癒しにくくなると言われています。

これから、まだまだ長い人生を送る中のほんの数年間きちんと治療をすれば、必ず良い方向に向かっていきます。
回復期に差し掛かったからと言って、焦らず長い目で人生を見つめなおす時間を取って下さい。

 

うつ病の回復期での仕事との付き合い方

回復期で特に注意が必要なの事として仕事復帰のタイミングがあります。

本人が元気そうで特に症状が見られないと、復帰しても問題ないのではないかと考えがちですが、決してうつ病を軽く見てはいけません。

大原則として、復帰のタイミングは主治医が決めます。まだうつ病の回復途上なのに自己判断で復帰してしまえば、簡単に再発してしまうでしょう。

うつ病の場合は症状の見極めが非常に難しいので、専門家である主治医の判断は必要不可欠です。家族や患者本人も主治医と入念にカウンセリングを行い、主治医が復帰しても良いと太鼓判を押してから復職について会社と話し合いを始めるようにしましょう。

仕事に復帰する場合、復帰後の働き方にも注意が必要です。うつ病になってしまったということは、過労やストレスなど働き方をうまくコントロールできなくなったことも大きな原因だと考えられます。

このため、復帰後いきなりフルタイムで働き始めるというのは非常に危険です。うつ病になった時と同じ職場に復帰する場合は、人事異動でもない限りは再びうつ病の原因の中に飛び込むことになります。

フルタイムで復帰できると、最初は会社も本人も嬉しさや気遣いがあるため、イキイキと楽しく働ける可能性が高いです。しかし、それが続けば次第に当初のやる気が薄まり、周囲の態度も普通になってきて再びストレスを感じるようになってしまいます。

仕事の遅れを取り戻したいと、必要以上に働きすぎてしまうこともあるでしょう。これではせっかく回復したうつ病が再発してしまうので、まずは働き方をコントロールする術を身に着けることが大切です。

主治医と相談して最初は時短勤務や週3日だけの出勤からスタートしたり、これまでとは違う部署に配置換えをしてもらうのも良いでしょう。

患者本人は頑張りたいと働きすぎてしまうこともあるので、体調が安定するまでは会社が主導して勤務形態を指示するのも効果的です。

フルタイムで復帰した場合、できれば約6ヶ月間残業なしでハードな仕事はしないことが理想です。

会社の生産性や忙しさなどを考えると現実には難しいでしょうが、それくらい余裕のある会社や部署であればうつ病が再発するリスクを抑えることができます。

こういった都合を全て会社が理解してくれれば良いのですが、そうでない場合は無理のない範囲で働きつつ、主治医に定期的に診察してもらってうつ病の再発の兆候が無いかを早めに気付ける環境を整えておくと安心です。

私が回復期にした過ち

私の長いうつ病人生の中において、

  • 急性期は地獄
  • 回復期は周囲の無理解との闘い
  • 再発予防期は貧困との闘い

でした。
回復期になるまでに相当の時間が経過しています。
本来脳の病気であるうつ病が、そんなに早く回復するはずがないのは明らかなのですが、周囲の人はそんな事はお構いなしでした。
復職して、少しずつ体を元に戻そうとしていたのですが、会社からは「そろそろ残業をしてもらわないと困る」「会社を休むようでは困る」と言った言葉をかけられました。
回復期でも体調が悪くなることはあるので、無理をしてはいけないのですが、結局無理をしなければいけない環境に置かれたのです。
今になって思えば、会社が何を言ってもしんどい時は休み、残業は絶対にするべきではありませんでした。
しかし私はその決断が出来なかったために、うつ病を再発させ、その後の4年間と言う長い時間をうつ病の地獄の苦しみと戦う羽目になったのです。

更に回復期が過ぎて再発予防期に差し掛かると目の前に「貧困」と言う2文字が浮かび上がってきました。

仕事を探すにしても以前の様にストレスを掛ける事はできないし、ブランクもある。

年齢もいつの間にか40歳を超えていたので、うつ病を隠して転職をすると即戦力として扱われるので長続きしない。

かと言って、うつ病をオープンにすると家族を養うだけの収入が得られないと言った感じです。

結果的には「障害年金」と言う社会保険制度によって何とか乗り切る事が出来ましたが、貧困は想像以上に苦しい物でした。

あなたが今回復期にあるのであれば、絶対にストレスをかけたり、無理をしない事をおすすめします。
私は運よく、9年のうつ病人生にピリオドを打ちましたが、中には一生うつ病と付き合わなくてはいけない人もいます。
そうなれば、人生の喜びや楽しみの大半を失う事にもなるのです。
決して無理だけはしないでくださいね。

コメント

  1. […] 結論から言うと、医療保険の適用は可能です。 ただし、注意したいのが「うつ病の通院治療には使えない」ということです。 例外的に「通院のみでも保険適用」という場合は可能ですが、そうではない保険がほとんどでしょう。主に入院や手術に対する場合に適用となりますから、入院したりしなければまず何らかの保険給付金を受け取れることはないでしょう。 このため、入院や手術を受けない限りは適用とはならない可能性があります。うつ病の場合、あまり手術ということはありませんが、入院によって給付金を受け取れる可能性があります。 うつ病で入院しなければいけないケースと言うのは、実は稀で、基本的には自宅療養と同じで薬物療法しかしてくれません。 但し、希死念慮が強く自殺の危険性があったり、入院している方が精神的に安定する人は入院する事があります。 また、治療の一つに「電気けいれん療法」と言うものがありますが、電気けいれん療法に関しては1ヶ月から2か月間の入院が必要になってきます。 […]

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  4. […] 運よく障害も残らずに生きていますが、うつ病の希死念慮は尋常じゃない程の強さを持っています。 […]

  5. […] 一日中布団から離れられず寝込んでいる人もいれば、希死念慮が強く出てきて、自殺未遂をする人もいます。 […]

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